宇宙に情報が出現する前の観測結果は、どんなに奇妙でも、因果律を脅かす存在にはなりません。
そのため、理屈の上では因果律は崩れずに済みます。
この実験結果は量子力学の中でも特に直感に反する現象として考えられています。
量子もつれはタイムトラベルとして解釈できるのか?

そこで今回、ケンブリッジ大学の研究者たちは、量子もつれが持つ曖昧さについて、新たな検証を行うことにしました。
この未来の観測が過去の観測結果を変えてしまうという結果を、本当にタイムトラベルが可能であると仮定した場合でシミュレートしてみたのです。
実際のシミュレーションでは、上のような時間遡行可能な量子もつれ回路が形成されました。
すると、4回に1回の確率で、未来で行った恣意的な観測によって、過去の測定結果を変更できることが示されました。
そのため研究者たちは、過去に起こった出来事を未来に変更することは、物理学の法則に違反しないと結論しました。
また研究者たちはこの結果について、プレゼントを贈る場合を例に説明しています。
友達にプレゼントを贈るのに3日かかるとすると、3日後に届くには必ず1日目に送る必要があります。
ただし、友達が本当に欲しいものを記した「欲しいものリスト」が公開されるのが2日目になってからだとします。
そうなると、普通はもう手遅れです。
しかし量子もつれの仕組みをタイムトラベルに見立てて利用した場合、計算上、25%の確率で既に送ったはずのプレゼントの中身を変更できるのです。