地震の衝撃が露わにした古代の痕跡

 2025年3月28日、ミャンマー中部を襲ったマグニチュード7.7の大地震は、数千人の命を奪い、広範囲にわたる建物の崩壊と甚大な被害をもたらした。しかしこの壊滅的な災害の中で、思いがけない歴史的発見が報告されている。

 震源に近いマンダレー州タダウーの周辺では、地盤の沈下や亀裂が多数生じた結果、これまで地中に埋もれていた古代の遺跡が姿を現したのである。現地の考古学者たちは、露出した構造物が18世紀から19世紀にかけて栄えたコンバウン朝時代の「水の宮殿」である可能性が高いと見ている。

忘れ去られた都「ラトナプラ・アヴァ」の痕跡  この王宮は、かつて「宝石の都」を意味する名を持つラトナプラ・アヴァに仕えていたとされる。アヴァ(現在のインワ)は14世紀から19世紀にかけて、幾度となく栄え、そして地震や戦火で破壊されては再建された歴史を持つ帝都である。

 タダウーの北およそ6キロに位置するこの古都は、最終的には1839年に発生した大地震によって完全に放棄された。そのため、今回の地震で出現した遺構は過去数百年の地中に封じ込められていたタイムカプセルのような存在である。

 発見されたのは、基礎の構造物、石段、そしてかつての東屋と見られる遺構などで、これらの形状や配置は、古代のパームリーフ(ヤシの葉)に記された写本に描かれた王宮の挿絵と一致しているという。

大地震が暴いた「幻の王宮」ミャンマーの地下に眠っていた王朝の遺産
(画像=画像は「HeritageDaily」より、『TOCANA』より 引用)