2022年には、モロッコの諜報機関がスペインのサンチェス首相、マルラスカ内相、プラナ農相の携帯電話をスパイしていたことが発覚した。

その後、サンチェス首相がモロッコを訪問したのを機に、スペイン政府は米国と同様に西サハラをモロッコ領と認める立場に急転換した。その理由については、3年が経過した現在も明らかにされていない。

一部では、モロッコの諜報機関がサンチェス首相にとって公になれば不都合な情報を握り、それを外交カードとして活用しているのではないかとの見方もある。実際、それ以降のスペイン政府は、まるでモロッコに服従しているかのような対応を続けている。

モロッコのライバル・アルジェリアとの関係悪化

さらにスペインにとって不都合なのは、西サハラ領有をモロッコ支持に転換した結果、同地の独立を支持するアルジェリアとの関係が悪化したことだ。これにより、アルジェリアからスペインへの天然ガス供給が大幅に減少した。

スペインはその分をロシアからの輸入で補っているが、ウクライナ侵攻でロシアに制裁を課している中、ロシアからの天然ガス輸入量が逆に増えているという矛盾した事態に陥っている。