実はその現象には、アルコールが関係しているかもしれません。

アルコールを摂取すると、メスは惚れっぽくなり、オスは冷める

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スクリプス研究所のアリソン氏らの研究チームでは、北米原産の毛の長い小型げっ歯類であるプレーリーハタネズミを使って、アルコールがつがい形成に影響を及ぼすのかを検証しました。

プレーリーハタネズミは、一夫一妻制のパートナー様式を持つことから、男女の社会的な絆のメカニズムを明らかにするためのモデルとして一般的に使用されています。

本研究では、アルコールを10%混ぜた飲み水のある環境で、プレーリーハタネズミのオスとメスを24時間一緒に過ごさせ、つがい形成、交尾、運動、攻撃などの行動に影響があるかを検証しています。

その結果、アルコールを摂取したメスのプレーリーハタネズミは、オスへの嗜好性が増強したのに対し、オスのプレーリーハタネズミではむしろ嗜好性が下がることがわかりました。

このことは、アルコール摂取によりメスは異性のことが魅力的に見え惚れっぽくなるのに対し、オスは逆に冷静になる可能性があることを示唆しています。

また、アルコール摂取後の交配行動、運動量、攻撃行動など、その他の行動に変化があるかも検証しましたが、これらに影響はありませんでした。

アルコールはオスでは緊張をほぐす作用がある

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アルコール摂取時のメスとオスのつがい形成行動の違いには、脳のニューロペプチドY(NPY)という神経伝達物質が関与しているようです。

NPYは、抗不安薬に似た作用を持つことが知られています。

アルコールを摂取したプレーリーハタネズミのオスでは、脳のNPYの量が一時的に増加していることが観察されました。

この現象はオスでのみ見られ、メスではみられませんでした。

つまり、適量のアルコール摂取は、男性では緊張をほぐしてコミュニケーションを取りやすくするような効果があることになります。