東京都心部のタワーマンションの価格が高騰することによって、収入とは関係のない資産格差が生まれています。

kurosuke/iStock
値上がり前から物件を購入していた人たちは、利便性の良い都心のマイホームに住みながら、値上がりによる含み益を享受しています。
一方で、ずっと賃貸住宅に住んできた人や、郊外の一戸建てに住んでいる人たちは都心のタワマンの価格上昇からの恩恵を受けることができていません。
これからタワーマンションを買おうと思っても、例えば坪単価700万円の物件なら20坪(66平米)でも1億4000万円になります。中古でもこれ以上の坪単価の物件もあります。2億円近くになれば、年収1000万円の会社員でももはや手を出せません。
年収の高い「一流企業」で仕事をしてにも関わらず、「タワマン相場」に乗れなかった人たちは、たまたまタワーマンションを買って資産を構築した人たちがどうしても許せないようです。
さらに最近では、競争率の高い新築タワマンの販売抽選に当たって、SNSでマウンティングする人まで出てきて、更に神経を逆なでされているようです。
マイホームも持たず、投資用不動産にも縁のない人たちが密かに願っているのは、これから金利が上昇して、インフレにも関わらず賃金上昇が追い付かず、ローンの返済ができなくなった人たちが投げ売りしてタワーマンションの価格が下がることです。
マイホームという消費が結果的に最高の投資になってしまっているのが今の日本ですが、この流れがこれから変わるのでしょうか?
短期的に投資資金が殺到して割高になった物件は価格が調整することがあるかもしれませんが、昭和のバブルのような過熱感はなく、今の水準から大きく下落することは考えにくいと思います。
不動産だけではなく金融資産も含めた資産の置き場所によって、経済状況が変わってしまう世界になっています。「収入格差」よりも「運用格差」がによる経済格差が広がる状況はこれからもしばらく続きそうです。