旧約聖書に記された大洪水伝説。神の啓示を受けたノアが、あらゆる動物をつがいで乗せて難を逃れたとされる巨大な船「ノアの方舟」。それは単なる神話なのか、それとも史実に基づいた物語なのか? 長年、多くの探求者を魅了してきたこの謎に、終止符が打たれる日が来るかもしれない。トルコ東部で活動する考古学者チームが、「ノアの方舟」の最終停泊地とされる場所を発見したと確信し、本格的な発掘調査に乗り出す計画を明らかにしたのだ。

聖書の記述と一致? ドゥルピナール地層の謎

 研究者たちが注目しているのは、トルコ東部にある「ドゥルピナール」と呼ばれる地質構造だ。全長約164メートルにも及ぶこの巨大な構造物は、その形状や大きさが、聖書に記されたノアの方舟の寸法と驚くほど一致するという。長年にわたり、科学者たちはこの場所がノアの方舟の痕跡である可能性を探ってきたが、決定的な証拠は見つかっていなかった。

 しかし、最近行われた調査で事態は大きく動き出す。遺跡の岩石と土壌サンプルを分析したところ、約5000年前のものと推定される粘土質の物質、海洋堆積物、そして貝類を含む海産物の痕跡が発見されたのだ。これは、この場所にかつて巨大な木造の構造物が存在し、それが腐敗した痕跡である可能性を示唆している。

「ノアの方舟発掘計画」が始動!聖書の伝説が現実に?トルコの山奥に眠る“神話の船”の正体とは
(画像=画像は「LADbible」より、『TOCANA』より 引用)

 研究者の一人は、「『方舟構造』内部のpH値が外部より低く、有機物含有量とカリウム濃度が高いことも、腐敗した木材の存在と一致する」と指摘する。さらに、2019年に行われた地中レーダー探査では、地表下に長方形の構造物が存在することも示唆されており、研究チームは「ノアの方舟」発見への確信を深めている。