PSG 写真:Getty Images

 4月10日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第1戦パリ・サンジェルマン(PSG)対アストン・ビラの試合前、ビラに所属するアルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネスが、ウォームアップ中にPSGファンから激しいブーイングを浴びた。背景には、何があったのだろうか?

 この試合に向けてパリに到着した際、FIFAワールドカップ(W杯)、コパ・アメリカ2回、ファイナリッシマのエンブレムが描かれた特注キャップを着用していたマルティネス。問題視されたのは、そのデザインがフランスの国鳥である雄鶏のマークを隠す形になっていた点だった。

 マルティネスは、2022年のカタールW杯決勝(3-3、PK4-2)時にアルゼンチン代表としてフランス代表を相手に挑発行為を見せており、フランス国内では再びの反感の高まりとなっている。

 同W杯決勝では、マルティネスがPK戦でフランス選手に心理戦を仕掛けたほか、優勝後のフランス代表FWキリアン・エムバペ(レアル・マドリード)をからかう行為や、ゴールデングローブ受賞時の下品なジェスチャーも物議を醸した。フランス紙『レキップ』は彼を「挑発のスペシャリスト」と報じている。

 また、昨2023/24シーズンのUEFAヨーロッパ・カンファレンスリーグ(UECL)でリールと対戦(3-3、PK4-3)した際にも、観客を黙らせる仕草を見せ、PK戦で2本のセーブを記録した。

 ビラのウナイ・エメリ監督はパリでの会見で「彼は成熟しており、責任感もある。感情のコントロールも上達している」と、マルティネスの姿勢に問題はないとの見解を示している。

 一方、チームメイトのMFユーリ・ティーレマンスは帽子について「よく知らない。たぶん彼のスタイルだろうが、試合に向けて集中しているのは確かだ」と述べた。チーム内では動揺は見られないが、スタンドの反応はそれとは対照的だったようだ。