しかし、このブリーフィングには拭い切れない違和感がある。
説明責任を果たす必要があったのは3月18日のレフェリーブリーフィングに出席した扇谷氏と佐藤氏だったのではないか。審判員資格もコーチライセンスもなく審判委員会とは何の関係もない小林氏に、判定基準についてメディア対応させることは職務放棄とも呼べるものではないか。
本当に謝罪し誤解を解くという目的があるのならば、扇谷氏あるいは佐藤氏が出てきて、“誤解を与える表現”とは何を指したのかをピンポイントで教えてほしいところだろう。判定基準がブレていることが問題なのに、言葉の表現のせいにしている印象である。
現役時代、人気選手だった小林氏に“汚れ役”を押し付けたのかと邪推してしまうほどだ。

問題の核心はぼやけたまま
ファンの不満の対象は「表現」よりも、判定基準が変わったことや審判のジャッジそのものである。にも関わらず「表現が誤解を生んだ」と弁解するのはまるで言い訳がましい小役人のようだ。「私が責任を取る」といった審判員としての自負も感じられない。
審判委員会の声明は「謝っているようで謝っていない」「問題の核心をぼやかせている」印象を与え、聞く側をモヤモヤさせただけに終わった。
現在、DAZNで配信中の『シンレポ-Jリーグ審判レポート-』には扇谷氏と小林氏が揃って出演。しかし事例として紹介したシーンは、レフェリーがファールを流したことでゴールが生まれたナイスジャッジばかりで、明らかな誤審を紹介したシーンは最後にわずか1つだ。
一昨年まで配信されていた『Jリーグジャッジリプレイ』を終わらせた上でスタートした同番組だが、扇谷氏が審判委員長の立場としての言い分を一方的に垂れ流し、小林氏もその言葉に沿った補足を語るばかりで、単なる“審判員ヨイショ番組”になり下がったことを強烈に印象付けただけだった。