ただし、上記のEUAAのデータはあくまで今年第一・四半期だ。第二・四半期以降、ドイツで難民申請件数が増えてくると予想されている。
ドイツでは現在、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)との間で連立交渉が展開中で、移民政策と税制問題で激しい政策争いが行われている。移民政策では、CDUのメルツ党首は1月、「国境での難民申請拒否」など厳格な5つの方針を発表し、「一切の妥協をしない」と明言してきたが、SPDとの連立協議の草案では「近隣諸国と協調して対応する」と柔軟な表現に変わっているという。CDUは「近隣諸国の合意は不要」と主張してきただけに、CDU支持者にとって「なぜ譲歩するのか」といった批判が飛び出している。
ドイツ地区協会(DLT)は、戦争や危機地域からの移民・難民の受け入れ全面停止を主張している。DLTのアヒム・ブローテル会長は「最終的には、内戦難民を受け入れる必要があるのか」と疑問を呈し、「EU内の難民がより公平に分配されることを期待している」と述べている(ドイツ民間放送ニュース専門局NTV)。
ドイツの場合、移民反対、外国人排斥を標榜する右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)の飛躍を警戒し、CDU/CSU内で移民・難民への強硬論が出てきている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。