塩貝健人 写真:Getty Images

 オランダ1部エールディビジ、NECナイメヘン内のポジション争いが激しさを増している。同クラブに所属する日本代表FW小川航基が負傷で離脱して以降、1トップとして元浦和レッズのFWブライアン・リンセンが先発に名を連ねているが、ここにきてFW塩貝健人が数字と内容の両面で強い存在感を示している。

 オランダメディアの報道によると、ロヒエ・メイエル監督はリンセンに一定の信頼を寄せているものの、状況は流動的だ。

 リーグ戦での得点数は塩貝が3点、リンセンが1点。出場時間は塩貝が231分、リンセンは484分と倍以上の差があるにもかかわらず、ゴール期待値(0.8対0.4)、シュート数(4.7対2.8)、チャンス創出(0.8対0.4)、ボールタッチ数(49.1対28.8)など、あらゆる指標で塩貝が上回っており、データ上では明らかに塩貝に軍配が上がる。

 とはいえメイエル監督は、チーム戦術への理解や周囲を引っ張る働きを理由に、次節(4月6日)スパルタ・ロッテルダム戦でもリンセンの先発起用を継続する構えのようだ。

 3月30日のアルクマール戦(3-3)では、リンセンがニアに走った動きが1-1の同点弾につながったと評価されている。一方の塩貝も同試合で途中出場から1ゴールを挙げてチームに勢いを与え、勝ち点1獲得に大きく貢献した。

 両者ともに異なる形でチームの攻撃陣に影響を与えており、メイエル監督は今後の起用について「試合ごとに最適な選択をする」とし、ここに小川が復帰すれば、選択肢は一層広がることも明言している。

 また、リンセン本人は騒がれることを意に介していないようだ。どのクラブでも先発の座を巡る議論に晒されてきた経験から「自分がスタメンでいいのかと議論されるのはいつものことだ」と受け止めている。「点を取れない時に疑問の声が出るのは当然。それがこの世界」と語り、「誰が1トップかなんて議論には興味がない」と冷静な姿勢を見せたことが伝えられている。