日本の伝統的な調味料「味噌」を宇宙空間で発酵させて作ることに成功しました。
しかしその”宇宙味噌”の風味は、地球上で作られたものとは少し違っていたようです。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)は今回、ISS(国際宇宙ステーション)に味噌の材料を送って、発酵させる実験を実施。
その結果、味噌は宇宙空間でも見事に発酵しましたが、その風味はよりローストされたナッツのような香りが強くなっていたとのことです。
研究の詳細は2025年4月2日付で科学雑誌『iScience』に掲載されています。
目次
- 宇宙空間で「味噌」は作れるのか?
- 宇宙では微生物の働きが変わる?
宇宙空間で「味噌」は作れるのか?
味噌は、塩と大豆を発酵させて作られる日本の伝統的な食品です。
その発酵には、微生物が重要な役割を果たしています。
地球で発酵させると、まろやかで豊かな旨味を感じる味噌ができますが、宇宙で発酵させると、どう変わるのでしょうか?
地球上では、発酵に関わる微生物や酵素が安定して活動することができます。
しかし宇宙という特異な環境では、微小重力や放射線の影響で微生物の動きや成長がどのように変化するのか、よくわかっていません。

今回の研究に参加したデンマーク工科大学(DTU)のジョシュア・D・エヴァンス(Joshua D. Evans)氏はこう話します。
「低軌道の宇宙環境、特に微小重力と放射線の増加には、微生物の成長や代謝、そして発酵の仕組みに影響を与える可能性があります。
私たちは、これらの条件が味噌づくりにどのような影響を与えるのかを探りたかったのです」
そこで研究チームは2020年3月に「味噌を作る材料」を小さな容器に入れて国際宇宙ステーション(ISS)に送り、30日間の発酵を試みました。
また同時に、比較対象として地球上でも2つの味噌を作っています。