不動産価格の上昇の結果、日本人の実需の購入者が買えないレベルになってしまった東京23区の不動産。郊外エリアは需要がついて来れず、ついに価格が下落する物件も増えてきました。その一方で、港区のような都心3区の物件の上昇は止まりません。
居住用マンションの販売サイトを見ていたら、港区の80平米のマンションが約5億円で売り出されているのを見つけました(写真)。
想定賃料から計算される表面利回りは1.32%と昭和のバブル期を思い出させる低いレベルになっています。
管理費や諸費用、税金等を考慮すれば、投資物件としては全く間尺に合わなくなってきました。
投資物件としてこの価格を正当化するためには、家賃が今より1.5倍から2倍程度に上昇すること。あるいは、物件価格がこれからさらに上昇していくことが必要となります。
物件価格の上昇を前提とするのは高く売れるから買うという昭和バブルと同じ発想で持続性はありません。家賃は上昇するかもしれませんが、限界があると思います。
このように考えると、購入者層として考えられるのは利益を目的とした投資家ではなく、自分で住もうと思う実需層か、相続税対策などの特殊な事情を持つ人たちに限定されます。
もちろん表示されている価格は希望売却価格ですから、実際に成約する金額とは限りません。物件価格は交渉の余地があって少しは下がるかもしれませんが、それでも投資対象としてはまた割高と言わざるを得ません。
日本人で実需でこの価格帯の物件を買える人は極めて限られています。購入者としての顧客ターゲットとなるのは中国人を始めとする外国人になると思われます。
都心不動産の急上昇によって「持つもの」と「持たざるもの」の資産格差は急激に拡大しています。
このような賃貸利回りになってくるとこれから都心3区に住むのであれば、賃貸が有利と思えてきます。上記の六本木の物件も家賃は月に55万円ほどです。決して安い家賃ではありませんが、5億円払って購入することを考えれば、圧倒的に割安だと思います。