
3月27日、J1の浦和レッズは、FW前田直輝がサンフレッチェ広島へ完全移籍したことを発表した。この知らせは、浦和サポーターから厳しい批判と失望の声を呼んでいる。公式発表のSNSのコメント欄には、前田への反感を示すコメントが多数寄せられ、背番号に込められた意味を踏みにじったとの指摘が相次いでいる。
浦和における背番号30は、長年クラブを支えてきた興梠慎三氏(2024年引退)が背負い続けてきた特別な番号だ。興梠氏はゴールを量産し、チームの象徴的存在としてサポーターの信頼を集めてきた。そんな30番を、2024年に加入したばかりの前田が継承したことには、当初から一部に疑問の声もあった。そのうえで半年足らずでの移籍となったことで、「覚悟が足りなかった」「クラブの伝統を理解していない」といった強い非難が噴き出す結果となったようだ。
寄せられたコメントには、「スタメンを取る覚悟があるなら残って戦うべき」「30番を着けたなら逃げるな」「口だけの選手」といった感情的な反発も少なくない。一方で、「ポジション争いが激しかった」「クラブの現状では仕方ない」と一定の理解を示す声もあるが、そうした冷静な意見は圧倒的少数だ。
今回の移籍で浦和に移籍金が残されたことには一定の評価もあるが、それ以上にサポーターが問題視しているのは、背番号の重みとそれに伴う責任を引き受ける覚悟が感じられなかったことだ。浦和とって30番は、単なる番号ではない。その意義を受け継げる選手かどうか、クラブにも今後改めて慎重な判断が求められるだろう。