西村康稔氏が産業政策(たぶんラピダスを念頭に置いて)の意義を訴えている。
日本経済の大きな課題は潜在成長率の低迷です。その最大の要因は諸外国と比べても投資が不足している点にあると考えています。構造的な民間の貯蓄過剰を解消し民間投資を引き出すため、その呼び水として、政府も積極的に投資を講じることが重要です。半導体などデジタル技術、グリーン、若者など人への… pic.twitter.com/UvGV8RwFAg
— 西村やすとし NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) February 14, 2025
これは誤りである。潜在成長率は資本と労働と生産性(TFP)で決まるので、政府投資が潜在成長率を高めることはありえない。このようなターゲティング政策は、終戦直後の鉄鋼産業や石油化学工業の育成では成功したが、1970年代以降の大プロ(大型プロジェクト)はほとんど失敗した。2003年の私の記事を引用しておこう。
ターゲティング政策はなぜ失敗するのかかつて政府は、こういう「日の丸プロジェクト」に巨額の予算を投じた。特に通産省(当時)の大プロは、コンピュータで米国に追いつき追い越すことを目標として、国産メーカーを結集して新しい技術の開発を行った。この種のプロジェクトの最大の成功例とされるのは、1970年代のVLSI(大規模集積回路)プロジェクトだが、その後のプロジェクトはほとんど失敗に終わっている。
表:1970年代以降の主な「日の丸プロジェクト」
プロジェクト名
期間
所管官庁
予算(億円)
成果
VLSI
1976~79
通産省
740
成功
スーパーコンピュータ
1981~89
通産省
180
一部商品化
第5世代コンピュータ
1982~92
通産省
540
失敗
ハイビジョン(アナログ)
1983~?
郵政省
(NHK)
試験放送だけ
キャプテン
1984~?
郵政省
(NTT)
サービス停止
トロン
1984~?
通産省
?
失敗
シグマ計画
1985~90
通産省
250
失敗