治安警察の麻薬取締まりに強力なエリート部隊を内相が移動させた
2018年から昨年8月末までに1万9063回の取締まりを実施し、1万5446件が訴訟に至った。その結果、1,387,832キロのハシシュ、87,786キロのコカイン、104,018キロの大麻が押収された。(2月10日付「ABC」から引用)。
この大量の麻薬の押収ができたのも2022年まで150名から成るエリートの治安警察官(OCON)が活躍していたことに大きく起因する。ところがマルラスカ内務相は表向きは、予算の関係からとしているが、彼らを別の地域に移した。
この移動に現地の治安機動隊は、麻薬組織に対して取締まりの効力が半減すると主張して反対していた。が、マルラスカ内務相は聞く耳を持たないという感じでこのエリート集団を他の地域に分散させた。それで手薄になった治安警察部隊。それも今回の治安警察官の死亡に結び付いたとして治安警察官の複数の組合はマルラスカ内務相の辞任を要求している。
治安警察が要請していた大型ボートがモロッコ政府に寄贈されていたところが、今回の事件をきっかけに電子紙「OKディアリオ」が2月15日付で、治安警察が正に要請していた700馬力のボート5隻をスペイン政府が2022年にモロッコ政府に贈っていたことを報じた。
それはモロッコの諜報機関がスペインのサンチェス首相とそれに内務相と財務相の携帯を盗聴していたことが明るみになってから数か月後の出来事であった。モロッコは麻薬の密輸が盛んな国だ。特にサンチェス首相の携帯が盗聴されていた内容に彼が不利に立たされる秘密をモロッコ政府は掴んでいるのではないかと憶測されている。何しろ、この5隻のボートがモロッコ政府に贈られた頃に上述した150名のエリート治安警察官も別の場所に移されたのである。
マルラスカ内務相の前の職業はテロリストなどを専門とする判事ということで彼の手腕が期待された。ところが、彼の内務相として5年間務めて来たが、不祥事が多い内務相として評判は良くない。それでも辞任する意向はこれまで見せたことがない。
亡くなったこの二人の治安警察官の葬儀では、マルラスカ内務相が死亡した警察官の棺の上に勲章を置こうとした時に幼い子供二人を抱えた未亡人となった夫人は同内務相に向かって「あなたから勲章を授けられるのは主人も望んでいない」と怒りを込めてそれを遮るという場面もあった。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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