2016年8月7日には、パリ郊外で中国人の織物デザイナーが強盗に襲われ、死亡する事件が発生した。この事件は、パリ北部のバルドマルヌ地区で起き、被害者は49歳の男性で、彼は強盗に襲われた際に頭部を殴打され、数日後に病院で亡くなった。
2023年3月19日には、中央アフリカ共和国のバンバリ近郊で、中国人鉱山労働者9人が武装グループに襲撃され、死亡する事件が起きた。これらの事件は、中国企業が進出する国の法や治安体制がほとんど整備されていないという長年の問題を浮き彫りにした。
中国の民間警備会社(PSC)と民間軍事会社(PMC)
中国の「民間警備会社」(private security companies(PSC))は、2000年代初期からの中国経済の発展とともに発生、徐々に成長してきた。だが、欧米のPSCや「民間軍事会社」(private military companies(PMC))と異なり、中国国内に大小4,000社以上、登録要員が430万人ほどあるにも拘らず、中国のPSCは一部の例外を除いて、いずれも規模が小さく、知名度も低い。
これまで中国でPSCが活動するには、国の主権を侵害してはならず、警察、軍の権限に抵触してはならないとされてきたが、近年、中国当局もやっと法整備に着手し、保安企業を「保安会社」と「武装した保安会社」の2つのカテゴリに分けた。いずれの企業体も当局、警察、軍の指導と監視を受けた上で、開業できるようになった。
「保安会社」(PSC)を開業するには資本金100万人民元、保安要員は過去に犯罪歴がない者を雇用し、明確な組織・管理、および説明責任体制を確立することが求められる。「保安会社」は公共の安全と秩序を維持するために、警備員を雇用し、様々な施設やイベントで警備業務を提供して、建物の警備、パトロール、監視カメラの管理、身辺警護などを行っている。
最近、中国では「保安会社」は急速に成長しており、多くの大手企業がこの分野に進出してきた。例えば、大手保安会社には「北京中天安全保護技術有限公司」や「上海中信安全保護技術有限公司」などがある。