2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件で瓦解した世界貿易センタービル(WTC)の敷地の地中から、古い木造船の残骸が発見されていた――。
■911後のWTC跡地で発見された古い木造船の謎
世界を衝撃を与えた911テロ事件だが、瓦解した世界貿易センタービル(WTC)の現場はその後、瓦礫が撤去されて急ピッチで整備が進められた。一帯の土壌を掘り進める工事を行っていた2010年、作業員が予期せぬものを発見している。土壌の中から古い木造船の残骸が見つかったのだ。
船の残骸は道路面より約7メートル深い地中で発見されたのだが、なぜこのような場所に木造船の残骸が埋まっているのか関係者は謎に包まれた。
建設作業はいったん中断されて考古学者たちによる発掘、分析、研究が行われ、この船が1770年代半ば、つまりアメリカの独立宣言の前後に建造されたものであることが判明した。
船の建造に使用されたオーク材の種類がペンシルベニア州フィラデルフィア産であったことも突き止められた。
さらに驚くべきは、船体の木材が同じくフィラデルフィアにある独立記念館の建設に使用されたホワイトオーク材と一致したことだ。したがってこの船は当時の造船の中心地であったフィラデルフィアで建造された船であったことがほぼ確実となった。
当時、この船はハドソン川の浅く岩の多い水域で貨物や乗客を運ぶために使われていたものであったと考えられている。
20~30年ほどの運用後、老朽化した船体はまだ埋め立てられていなかったマンハッタン南部のこの付近の浅い河口で沈没したと考えられるという。船が偶然に沈んだのか、それとも意図的に沈められたのかは研究者たちにもまだわかっていない。

考古学者のモリー・マクドナルド氏はこの船を最初に発見した一人であり、2014年にこの発見について「CNN」にコメントしている。
「ここは、最近の歴史だけでも非常に衝撃的な場所です。ですから、この都会的で近代的で非常に緊張感に満ちた場所の中心部が、ハマグリや魚がいて、干潮の匂いがする川底にあったというのは、本当に驚くべきコントラストでした」(マクドナルド氏)
現在、この船の残骸はニューヨーク州立博物館で保存・展示されていて誰もが目にすることができる。あの事件が起きていなければ日の目を見ることがなかった船の残骸であるだけになんと評すべきなのか微妙ではあるが、歳月に負けなかったそのタフな船体は復興のシンボルになるのかもしれない。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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