この燃料は宇宙空間で瞬時に凍結し、氷の結晶となって広がっていきます。
そして、これらが太陽の光を反射することで、地上から見ると青白い光の渦のように見えていたのです。
特に今回は、ロケットの第2段が回転しながら燃料を放出していたため、光がぐるぐると渦巻くような形を描きました。
この現象は「スペースXスパイラル」と呼ばれており、ロケット技術が生み出す幻想的な天体ショーともいえます。
スパイラル現象はこれからも見られる?
実はこのスペースXスパイラル、最近ではアラスカやハワイなどでも何度か目撃されており、特に打ち上げ後のロケットの再突入時に発生することが知られています。
とはいえ、今回のようにヨーロッパ、特にイギリスのような打ち上げ地点から遠く離れた場所で見られるのは非常に珍しいケースです。
スパイラルが見える条件には、いくつかの要素が関係します。
まず、ロケットがどの方向に打ち上げられ、どこで燃料を放出するか。
また、上空の天気や光の反射角度、そして夜間であることなど、さまざまな偶然が重なって初めて、私たちの目に「巨大な光の渦」として現れるのです。

専門家の中には、打ち上げの軌道や時間、回転速度などから、ある程度はこの現象を予測できると話す人もいます。
しかし今回は、打ち上げが政府の極秘任務だったため、事前情報が公開されておらず、完全にサプライズでの出現となりました。
SNSには「飛行機のライトかと思ったらどんどん渦を巻き出した」「ふわっと現れて空に花火が広がるようだった」といった目撃談が多く寄せられています。
初めて見る人にとっては、まさに超常現象のように見えたことでしょう。
こうした現象は、一見すると科学とは無関係に思えるかもしれませんが、実は私たちの技術や宇宙開発の成果がもたらした“偶然の芸術”ともいえるのです。