電動化に伴うラインナップの刷新に伴い、次期モデルがフルEV化されるA4に代わって、エンジン車としての立ち位置を引き継ぐこととなる新型A5。日本導入を機に、改めて新型A5の魅力を紹介しよう。

全面に渡って驚くべき進化を遂げた新型A5

新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=アウディA5アバントTDIクワトロSトロニック、『CARSMEET WEB』より 引用)

近年は電動化に邁進してきたアウディが久々にエンジン車をフルモデルチェンジしただけでも嬉しいのに、その内容が充実していて、しかも完成度が驚くほど高かったのだから、試乗会場でひとりニンマリとしてしまったこともご理解いただけるはず。個人的に、新A55で注目していただきたいポイントは3つ。ひとつは新世代のマイルドハイブリッドが装備されたこと。2番目はハンドリングのキャラクターがガラリと変わったこと。そして3番目は、これまでアウディの弱点とされてきたインフォテイメント系のシステムが長足の進歩を遂げたことにある。

まずは「MHEVプラス」と名付けられたマイルドハイブリッドシステムについて解説しよう。

これは48Vシステムで駆動されるもので、モーターの最高出力が24psとパワフルなため、マイルドハイブリッドでありながら、ごく低速時にはモーター単独での走行も可能とされている。しかも最大39psまでエネルギー回生が可能なので、燃費向上にも見逃せない効果があるはずだ。

新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

ただし、私がもっとも感銘を受けたのはドライバビリティへの貢献である。MHEVプラスが装備されるのはA5の2LディーゼルとS5に積まれる3Lガソリンの2種類だが、とりわけディーゼルでは低回転域の吹け上がりがスムーズになって、ビックリするくらい扱い易いパワーユニットに生まれ変わっていた。エンジンが瞬時にかかるマイルドハイブリッドゆえ、ディーゼルの弱点である始動時の不快な”身震い”が解消されたのも嬉しいところだ。

新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=高性能モデルであるS5には、新開発の3ℓV6マイルドハイブリッドエンジン(MHEVプラス)を搭載。最高出力367ps/最大トルク550Nmを発揮し、0 →100km/h加速は4.5秒をマーク。多気筒エンジンらしい重厚で伸びやかなフィーリングが気持ちいい。、『CARSMEET WEB』より 引用)

ハンドリングが見直されたことも見逃せないポイントといえる。アウディのクルマ作りは、シャシーにしてもパワートレインにしてもスタビリティ重視の思想が基本となってきた。これがアウディ特有の深い安心感に結び着いていたわけだが、その反面、ステアリングレスポンスがあまりシャープではないとか、ステアリング系のカッチリとした印象が乏しいといった弱点があったのも事実である。

新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=アウディS5 TFSI、『CARSMEET WEB』より 引用)

そこで新A55ではステアリング系の剛性を全面的に見直すとともに、ステアリングシャフト軸上にあってシャフトのねじれにより操舵力を検知していたパワステ用センサーの感度を引き上げることでステアリングの”ネジレ感”を一掃。さらにステアリングギアレシオをこれまでよりも速めることで、これまで以上に正確でシャープなハンドリングを実現したのだ。

3番目はインフォテイメントの改良だ。それもただディスプレイを大型化しただけでなく操作ロジックも一新し、いままで「使い勝手が悪い」との指摘が多かったインフォテイメント問題の根本解決を目指したのだ。この点は、日本仕様が出てこないと最終的な判断は下せないものの、欧州仕様に触れてみた範囲では、音声認識も含めてかなり期待が持てそうだ。

新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=インフォテイメント系も一新され、他ドイツ系ブランドと肩を並べた印象だ。あくまで海外仕様での使用感に留まるが、音声認識やナビゲーションの使い勝手はこれまでより大幅に進化している。、『CARSMEET WEB』より 引用)

それ以外にも、内外装のデザインはクオリティ感が格段に向上し、ボディ外寸の見直しにより室内スペースも拡大。さらには乗り心地が改善されて静粛性も向上するなど、クルマ1台分がまるごと進化していることは間違いない。そして何よりも、フォーリングスがエンジン車の進化をまだ諦めていないという事実が、アウディ・ファンである私を勇気づけてくれたことをここで強調しておきたい。

新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
新型アウディA5のここがすごい! 名実ともに生まれ変わった新たなアウディのスタンダード
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

【Specification】アウディA5 TFSI Sトロニック
■全長×全幅×全高=4829×1860×1444mm
■ホイールベース=2892mm
■車両重量=1695kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■排気量=1984cc
■最高出力=150ps(110kW)/3900-6000rpm
■最大トルク=280Nm(28.6kg-m)/1400-3600rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション形式(F:R)=5リンク:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=205/60R17:205/60R17

【Specification】アウディA5アバントTDIクワトロSトロニック
■全長×全幅×全高=4829×1860×1460mm
■ホイールベース=2892mm
■車両重量=1900kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ディーゼルターボ
■排気量=1968cc
■最高出力=204ps(150kW)/3800-4200rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-3250rpm
■トランスミッション=7速DCT
■モーター最高出力=24.4ps(18kW)
■モーター最大トルク=230Nm(23.5kg-m)
■サスペンション形式(F:R)=5リンク:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/55R17:225/55R17

【Specification】アウディS5 TFSI
■全長×全幅×全高=4835×1860×1429mm
■ホイールベース=2896mm
■車両重量=1950kg
■エンジン種類=V6DOHC24V
■排気量=2995cc
■最高出力=367ps(270kW)/5500-6300rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/1700-4000rpm
■トランスミッション=7速DCT
■モーター最高出力=24.4ps(18kW)
■モーター最大トルク=230Nm(23.5kg-m)
■サスペンション形式(F:R)=5リンク:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/40R19:245/40R19

文・大谷達也/提供元・CARSMEET WEB

【関連記事】
【比較試乗】「フォルクスワーゲン TロックTDI Style Design Package vs TDI Sport vs TDI R-Line」アナタならどのT-ROCを選ぶ?
「キャデラック XT4」ジャーマンスリーをロックオン! プレミアムコンパクトSUVの大本命!【試乗記】
【インタビュー】このプロジェクトを通して日本のモータースポーツをもっと元気にしたい!「ARTAプロジェクトプロデューサー・鈴木 亜久里」
【国内試乗】「ホンダ N-ONE」見た目は変わらずも中身は大幅に進化
【国内試乗】「レクサス・ニューLS」徹底的な作りこみを施した常にイノベーションを追求するフラッグシップ