さらに走査型電子顕微鏡で観察した大あごには、驚くべき左右非対称の特徴が見つかりました。
右の大あごはオスに見られるような毛の少ない鋭い突起、左の大あごはメスのように毛に覆われた幅広の突起。
まるで左右で性別が分かれているかのような状態だったのです。
この発見は、雌雄のモザイクが体の部位ごとに、しかも左右で異なるレベルで現れ得ることを示しています。
研究者たちは、こうした複雑な性の現れ方を多角的に理解するため、今後さらに多くのギナンドロモルフ個体の観察と、遺伝情報を含む研究を進めたいと話しました。
このような研究が進めば、生物における性決定の仕組みや、多様な性のあり方についての理解がさらに深まるでしょう。
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参考文献
「オスでもありメスでもある」カブトムシの内部・微細構造を解明! ~カブトムシ雌雄型(ギナンドロモルフ)のマイクロ CT および 走査型電子顕微鏡(SEM)による観察~(PDF)
https://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/143177.pdf
元論文
カブトムシ(コウチュウ目,コガネムシ科)ギナンドロモルフ個体のマイクロCTおよび走査型電子顕微鏡(SEM)による形態学的観察
https://doi.org/10.20848/kontyu.27.4_143
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部