では、環境要因の中でも特に寿命に対して強い影響が見られたものを見てみましょう。

どんな「選択」が長寿につながっていたのか?

データ分析の結果、寿命への強い影響が見られた要因には、以下のようなものがありました。

  1. 喫煙:最も強い悪影響を示し、喫煙者は寿命が短くなる傾向があった
  2. 公営住宅での生活:社会的困窮の指標であり、健康の悪化につながる
  3. 収入の低さや失業:同じく社会経済的な弱さから、健康の悪化につながる
  4. パートナーの有無:同居者がいる方が長生きできる傾向にあった。単身者は孤立感から心身の健康の悪化につながると見られる
  5. 身体活動量:日々の運動量の多い人ほど、心身の健康が高まり、長寿につながる可能性
  6. 睡眠時間:毎日7〜9時間の睡眠をとっている人ほど、寿命が長くなる傾向があった
画像
Credit: canva

この他の興味深い発見としては、10歳時点で身長が高かった人ほど寿命が短い傾向があるという相関関係も見られました。

これは意外に思えるかもしれませんが、過去の研究でも、背の高い人は早く亡くなる傾向があるとされており、今回の結果とも一致しています。

また10歳の時点で体重が重かったことや、母親が妊娠後期や出産直後に喫煙していた場合も、寿命が短くなる要因とされました。

他方で、食習慣については生物学的老化との明確な関係が見られなかったといいます。

ただし、これは「食生活が老化に無関係」ということではなく、日々の食事内容が被験者の自己申告に基づいていたため、正確に栄養レベルが測定できなかったことが関連していると研究者は指摘しています。

今回の研究結果は、長く健康に生きたいと考える人にとって強い励みとなるでしょう。

もし寿命が生まれつきの遺伝子によって決まるなら、私たちにはどうしようもありません。

しかし本研究が示すように、私たちの寿命は日々の選択によって形作られた生活習慣によって大きく左右されるのです。