1665年からイギリスを襲ったペスト(黒死病)の大流行のさなか、感染被害を最小限にするために自らロックダウンをしたイーアムという小さな村がイングランド中部に存在します。

新型コロナのパンデミック後にイーアムに足を運ぶと、感染症の恐ろしさ、また感染を拡大させないために自らロックダウンを決行した村人たちの勇気や強さを改めて感じることができます。

目次

  1. 自分たちを犠牲にしても!自らロックダウンした小さな村イーアム
  2. イーアム博物館
  3. ハイキングコースではゆかりの場所を巡る
  4. 現在の村の様子
  5. 新型コロナパンデミック後にあえて訪れる意義

自分たちを犠牲にしても!自らロックダウンした小さな村イーアム

1665年から1666年にかけてイギリスではペスト(黒死病)が大流行し、ロンドンでは記録に残っているだけで7万人ほどの犠牲者を出し、人口の約4分の1が命を落としたと言われています。

その流行はロンドンではとどまらず、イギリス各地に広まり悲惨な状況になっていました。イギリスで大流行した17世紀のペストのパンデミック史を語る際に、必ず語り継がれている小さな村イーアムがイングランド中部にあります。

イーアムはロンドンから北に約250kmほどのところにあり、シェフィールドとマンチェスターの間の丘陵地帯に位置する、現在も人口1,000人に満たない小さな村です。ロンドン・セイントパンクラス駅からシェフィールドまで電車で2時間ののち、シェフィールドからローカル線に乗りついて30分ほどのところにあります。

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

このイーアムにも例外なく、1665年9月に初めてのペストの犠牲者が出ます。まだ医療が発達しておらず、感染症などに関する知識も少ない中で、なんとこのイーアムは村全体で自ら「ロックダウン」を始めます。

ペスト菌を外から入れないためだけではなく、近隣の村やシェフィールドなど、より近郊の大都市に感染を広まらせないために、他の村や街との直の交流を一切たち、村の中でも家族間以外での接触を極力避けるという努力に踏み切ります。

イーアム博物館

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

イーアムで起こったペストの歴史をこのイーアム博物館でくわしく知ることができます。

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

当時の医者が来ていた防護服。なぜか鳥のようなフォルムなのは、つっこみどころ満載ですが、くちばしのところには当時は効果があると思われていたたくさんのハーブが詰め込まれていたそうです。

空気感染すると信じられており、解毒作用のあるハーブを通した空気なら安全と思われていたのかもしれませんね。

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

ペスト菌に保有したノミを運んだとされるネズミ。

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

最初にロンドンから入ってきたとされる仕立て屋に届けられた布。こちらのような布の端切れにびっしりとペスト菌を持つノミの卵がついていたそうです。感染から数日で黒っぽいあざのようなものをができるなどオドロドロしいモデルもいくつかありました。

当時のロックダウンのルールとして、家族で犠牲者が出た場合は、他人の手を借りずに家族が埋葬するというものがありました。人口の4分の3ほどが犠牲になったイーアムでは、次々に亡くなる家族を残された子供や女性などさほど力が強くなくても自らお墓まで運んで埋葬するという作業が繰り替えされたそうです。

決して大きな博物館ではありませんが、だからこそ細かい資料をもとに再現された展示に引き込まれ、当時の様子について想像することができました。

イーアム博物館

  • 住所:Hawkhill Rd, Eyam, Hope Valley S32 5QP イギリス
  • 開館時間:10:00~16:00
  • 開館時期:夏期、月曜日休館 11月4日~12月15日、週末のみ開館 冬期(12月16日~2月15日)休業 ※詳細は公式サイトでご確認ください
  • 入館料:大人5ポンド(約950円)、子供4ポンド(約760円)、学生4ポンド(約760円)※1ポンド190円換算

ハイキングコースではゆかりの場所を巡る

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

イーアム周辺のペストゆかりの場所を周遊できるハイキングコースもあります。

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

イギリスらしい緑の丘陵がひろがります。イーアム博物館ではなかなかヘビーな展示内容なため、緑と美しい空気で気持ちをリフレッシュする意味でもおすすめです。

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

近郊の村から必需品や食料を手に入れる際には、このバンダリーストーン(境界の石)がある村の境界に行く必要がありました。

金をお酢で満たされた穴の中に入れておき食料などを受け取っていたそうです。大きさは50cm四方もない大き目な漬物石のようなものです。

現在の村の様子

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

世界中からマニアックな観光客が訪れるイーアムですが、とても静かで典型的なイングランドの小さな村、という様子ですが、街のいたるところに、ペスト大流行時の様子を語るサインが遺されています。

こちらのコテージは多くは家族がほぼ全滅したメアリー・ハドフォードという女性の家でした。ふたりの幼い息子、夫、また使用人が亡くなったそうです。

かなりの観光地で、観光客の写真スポットであるこちらのコテージはなんと現在は普通の家として住んでいる人たちがいます。家の前も色鮮やかな花や植物で手入れされていました。

新型コロナパンデミック後にあえて訪れる意義

【イギリス】感染病被害を抑えるために自らロックダウンした小さな村イーアム
(画像=『たびこふれ』より 引用)

自らのロックダウンの末、人口の約4分の3ほどが犠牲になってしまったイーアム。当時の知識や衛生状況では村の中での被害を抑えることは難しく、240人ほどが犠牲となり、たった83人が生き残りました。

ただし、現在も近場の大都市であったシェフィールドや近隣に点在する村への被害を抑えたと考えられており、イギリスのペストパンデミック史を語る上でイーアムのロックダウンの様子は欠かせません。

新型コロナパンデミックを経たからこそ、当時の怖さや一丸となってロックダウンした村の勇気や強さに心が打たれました。

文・写真・ちき/提供元・たびこふれ

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