一方、CDU/CSUとSPDの財政パッケージを否決するために、第2政党の右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」、自由民主党(FDP)、左派党(DieLinke)、およびサハラ・ワーゲンクネヒト連合(BSW)は、カールスルーエの憲法裁判所に緊急申請を提出したが、申請は却下された。
AfDのクルパラ共同党首はメルツ;党首に対し、選挙前には財政の規律を強調し、健全財政を主張していたが、選挙後は巨額の財政負債を要求しているとして、「貴方は国民の政治への信頼を大きく傷つけた」と糾弾。左翼党、自由民主党(FDP)も同様に、財政パッケージの採択は「国家の健全な財政運営を破壊する」として、メルツ党首を非難した。
財政パッケージは21日、連邦参議院で採決されるためには、下院と同じように3分の2の賛成が必要だ。ドイツメディアによると、動向が注目されていたバイエルン州で与党「キリスト教社会同盟」(CSU)と自由有権者党(Freie Wahler)はパッケージ支持で一致したことから、大きな障害はもはやないと予想される。
「過去最大の債務計画」と呼ばれた財政パッケージが採択されれば、メルツ党首を主導した次期政権が成立する可能性は高まる。今後は社民党との連立協議で部門ごとに16グループに分かれた作業部会が協議、政権の閣僚配分などを決めて、4月20日の復活祭前までには新政権が発足する予定だ。
メルツ党首は「ウクライナ戦争やトランプ米政権の激しい圧力などに対峙している欧州には多くの時間はない」として、「ドイツは欧州の盟主としてその主導的な役割を果たしていかなければならない」と強調、「ドイツは戻ってくる」と述べた。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年3月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。