領土問題で明白なる立場の相違があり、現時点で長期停戦できる下地はまだないように感じます。

一方、イスラエルのガザ侵攻。3段階ある停戦の第1ステップが終わり、第2ステップに入る条件闘争で双方の足並みが揃わず、イスラエル側が一気にガザへの戦闘を再開してしまいました。アメリカの仲裁担当はウィットコフ中東担当特使です。氏は不動産業を主として弁護士資格も持ち、トランプ氏とはゴルフ仲間であります。私からすればお友達人事の典型。その氏はイスラエルとガザの第1ステップの停戦を成功させたとして評価を得ています。その後、ロシアに飛び、ロシア高官やプーチン氏と今回の下地交渉をしてきました。こう見るとウィットコフ氏の外交成果は1勝1敗1分け(ガザ第一ステップ〇、ガザ第二ステップ✕、ウクライナ△)の成績で、氏の外交努力による2つの戦争へのPauseボタンは現時点ではまだ評価しにくいところにあります。

アメリカが更にコトを複雑にしたのはアメリカによるフーシ派への直接攻撃。これは一時収まっていた紅海を航行する船へのフーシ派による攻撃が再開したことを受け、トランプ氏が攻撃を命じたものでこちらはアメリカ対フーシ派の戦いになっています。フーシ派はイスラエルの敵であるハマスと一蓮托生であることからイスラエルのガザ再侵攻はフーシ派を含むイスラム過激派に刺激を与えることになりかねません。

何故戦争が止まらないのでしょう?私の見解は「アメリカが一国でやろうとしている」ことにカギがあると思います。つまり本来であればウクライナ問題は欧州が全面的に仲裁なり停戦への下地作りをすべきですが、あまり機能したとは思えません。またロシアと一定の距離を置きながらも近い関係にある中国もダンマリです。一時はトルコも介入しようとしましたがエルドアン氏の声も聞こえなくなりました。

イスラエルのガザ侵攻についてはイランの声がよく聞こえない中、イスラムの盟主は誰なのかという問題に差し掛かっているようにも見えます。スンニ、シーアの両派同士の緊張関係もあるのでしょう。つまり、世界は外交までばらばらになっているとも言えます。