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(前回:このままでは日本は滅びる:平和ボケの果てにあるもの)

迫り来る巨大地震と富士山噴火

今後10年以内に、日本列島は関東直下型地震、南海トラフ地震、さらには富士山の噴火に見舞われる可能性が極めて高いとされている。多くの地震学者は、2030年を挟んだ前後5年の間にこれらの巨大災害が発生する確率が高いと指摘している。

これらの災害が発生した場合、想定される被害額は関東直下型地震で約47兆円、南海トラフ地震で約170兆円、富士山の噴火で約3兆円に上ると推計されている。さらに、その後の復興費用は20年間で現在のGDP(約560兆円)の4倍にも達する可能性がある。加えて、大規模な災害による経済の停滞や崩壊により、日本のGDPは極端な場合、現在の3分の1まで減少する可能性も指摘されている。その場合、復興資金の確保はさらに困難を極めることになる。

このような状況において、日本の資金不足は深刻化し、特に物資の輸入依存度が高い日本では、十分な物資を確保することが困難になる恐れがある。

財政危機と円の暴落

これだけの巨額の復興資金を、日本はどのように捻出するのか。すでに巨額の負債を抱える日本政府にとって、国債の発行は一つの手段となる。しかし、その国債を買い支える投資家が見つからなければ、日本円の信用は低下し、円安が進行、さらなるインフレを招くことになる。

一部の経済学者は「日本国債は日本円建てで発行されているため、いくら発行しても財政破綻することはない」と主張している。しかし、彼らの想定は通常の経済環境を前提としたものであり、国家の存亡を左右するような非常事態を考慮していない。平時であればこの理論は成り立つかもしれないが、未曾有の災害が発生した場合、日本は資金不足に陥り、財政破綻のリスクが現実のものとなる。

さらに、日本が保有する約2兆ドルの米国債についても、米国がそれを即座に現金化することを許可するとは限らない。その他の外国債についても同様であり、非常時には現金化が難しいと考えるべきだ。財政危機において最も重要なのは、流動性の高い「現金」である。

中国の介入と日本の主権の危機