今、AIは画像生成や自動翻訳、会話システムなど、めざましい速さで進歩を遂げています。
大手企業は多額の予算を投じ、「人間のように何でもできるAI」、つまりAGI(汎用人工知能)の実現を目指しているとアピールしています。
一方で、こうした期待が高まるなか、多くの研究者は「今の手法をただ規模拡大するだけでは壁がある」と疑問を呈しています。
実際、最新の調査では、研究者の約76%が「現在の延長ではAGIに到達しない可能性が高い」と回答していました。
莫大な投資による“AGI競争”は本当に人間レベルの知能を生み出すのでしょうか?
目次
- AGIは規模拡大だけでは達成できない
AGIは規模拡大だけでは達成できない

近年の人工知能は、画像を自動で生成したり、人間に近い精度で言語を理解・翻訳したりと、私たちの暮らしを大きく変えるほど進歩を遂げています。
特に「より多くのデータと大規模な計算資源さえあれば、人間相当かそれ以上の知能も獲得できる」と期待され、大型の言語モデルが注目を集めてきました。
この流れのなか、大手企業が巨額の資金を投入し、「規模拡大こそがすべて」という風潮が勢いを増しています。
しかし、これまでの研究を振り返ると、単に学習の規模を大きくするだけでは解決できない課題も多いことがわかってきました。
たとえば基本的な推論力や生活上の常識といった要素が、ただ拡大したモデルだけで身につくのかどうか、はっきりしないのです。
大学や研究所の専門家の中には、「いまの深層学習をただ大きくすれば足りる、という考え方に限界が見えはじめている」と指摘する声が増えてきました。
実際、一部の専門家は「一部の分野では性能が鈍化し始めた」と見る向きもあります。
そこで今回、大学・企業・公的機関といった多様な所属の研究者475名に対し、「現行の大規模アプローチだけで本当に汎用知能が得られるのか」という点を中心に意見を求めました。