神戸の右サイドバック、DF広瀬陸斗のところへパス回しを追い込んだ場合はここへ湘南のウイングバック畑が主に寄せており、ホームチームのMF平岡大陽が神戸MF井手口陽介を捕捉。神戸のウイングFW武藤嘉紀には湘南DF鈴木淳之介がマークに付いていた。

神戸の中盤の底、MF扇原貴宏を湘南2トップのいずれかが捕捉する原則も浸透しており、今季序盤5試合でマークの抜け漏れが散見された湘南のハイプレス(最前線からの守備)は改善傾向に。マンマークの分担がこの通りにならない場面もあったが、湘南の選手たちは臨機応変に対応できている。昨年のJ1リーグ覇者、神戸を相手にハイプレスが通用した点は収穫と言えるだろう。

エリキ 写真:Getty Images

勿体なかった2失点目

湘南のセットプレー以外の守備は概ね破綻が無かっただけに、前半37分の2失点目は勿体なかった。

ここでは湘南ウイングバック畑からルキアンへのパスを神戸陣営に奪われ、アウェイチームの速攻を浴びている。エリキへのラストパスを繰り出した宮代に対する、湘南MF奥野の帰陣や寄せも遅れたため、失点を喫してしまった。

センターサークル付近でボールを失った際の守備の整備や、素早い攻守の切り替えの徹底。今後はこの2点を改善する必要があるだろう。


畑大雅 写真:Getty Images

気になるウイングバックの立ち位置

前半の途中から、湘南の両ウイングバックが自陣後方タッチライン際でボールを受ける場面がちらほら。ウイングバックがこの場所でボールを受けた場合、タッチラインがある方向にはパスを出せない。そのうえ湘南ウイングバックに相手のサイドハーフやウイングバックが寄せてくるので、ボールを失う確率が上がる。この悪癖により湘南は2023シーズンと昨シーズン序盤に成績不振に陥っており、この現象が今回の神戸戦で散見されたのは気がかりだ。