
フィアットは文句なく楽しい! 愛すべきクルマです
イタリアのイメージをひと言で表現すると「人生を楽しむ国」。私の専門は音楽ですが、イタリアのオペラは、素晴らしい歌を聴かせることが主眼。ストーリー以上に歌が主役です。対してドイツのオペラは文学的にも音楽的にも最高を目指している。いわば理詰めの作品に仕上げます。快楽に対して哲学、どちらがいい悪いではなく、文化が違うのだと思います。これはクルマも同様です。


愛車はフィアット500Cのグッチ仕様。はじめてのイタリア車です。日常使いのアウディと2台体制ですが、その性格の違いは音楽と同様です。フィアットは文句なく楽しい。非力だから応援しながら走るイメージ。まさに「人車一体」を感じます。対してアウディは運転に対するストレスを極力排除している。走るということを意識させない。完成度が圧倒的に高いのはアウディですが、フィアットは、まるで遊び道具のようです。スタイリングも素晴らしい。出先で、何度も振り返って見惚れてしまうほどです。アウディは尊敬されるけれど、愛されるのはフィアットかな。妻と出会った若いころにホンダ・シティのカブリオレに乗っていたのですが、あの感覚が蘇りました。

私はドイツ文学を専攻した関係で、音楽もワインもドイツ中心でした。でもフィアットに触れ、イタリアの魅力に改めて感心しています。もう4年ほどのつきあいですが、想像以上に壊れないのも魅力です。オーディオも素晴らしい。相撲の中継を聞くのが実は好きなのですが、フィアットは「まわしを叩く音」が見事に響きます。Bang & Olfsenを装着したアウディ以上の音質です。ちょっとすごいでしょ。凝り性なのでフィアットを手に入れてから、ミニカーや書籍などを積極的に手に入れています。いまでは家中がフィアットだらけ。イタリアに留学中の娘からもらった「ミッレミリアの応援フラッグ」は大切な宝物です。

【田中 泰さんプロフィール】

たなか やすし/1957年、神奈川県生まれ。 株式会社スプートニク代表取締役。本業は音楽関係。J-WAVE朝の人気プログラム『MORNING CLASSIC』のナビゲーターや、JAL機内クラシックチャンネルの構成を担当。年間150以上のクラシックコンサートに通うクラシックマスターにして愛犬、アロハのよきパパでもある
提供元・CAR and DRIVER
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