さて、ターミナル駅に次々と建築される近代的高層ビルは果たして街づくりとしてどうなのか、という課題は出てくると思います。なぜかといえば近代的建物ほど作りが複雑で初めての人には迷路のようになるからです。
例えば六本木ヒルズ。特定のフロアに行くには特定のエレベーター、エスカレーター、そして建物の中ではつながっているけれど別棟となれば連絡通路がわからず、なかなか到達できないのであります。道路のナビはあれど、近代的ビルの中にテナント位置のナビはなく、結局めちゃくちゃ迷うというのがオチ。余談ですが池袋の三省堂書店も書店としてのレイアウトのひどさは日本一かもしれません。まるで迷路。そして店舗売り場がバラバラに存在し、買いにくさにおいては新宿紀伊国屋を凌ぐのは間違いありません。
さて、ターミナルシティの近代化は正直、楽しくないのです。たとえば渋谷駅前のマークシティも商業街と駅とホテルとオフィスが複雑に絡み合い、わかりにくさではぴか一でしょう。無機質で統一感がないのが渋谷総合開発で感じることです。
私がこの傾向に警鐘を鳴らすのは理由があります。それはお年寄りに優しくないのであります。これらのターミナルシティには人流があり、そのスピードはかなり速いのです。過半の目的地直行組に立ち止まる人やさまよう外国人、そして途方に暮れる人がバラバラになり、カオスとも言えるわけです。
巣鴨。おじいちゃんおばあちゃんの原宿と言われる理由は街の作りが単純、また高層ビルものなく、飲食店もせいぜい一階か、二階。これは必ずしも商店街を懐かしむ人々の憩いの場というだけではなく、わかりやすい、買いやすい、入りやすいという三拍子が揃っている点にあります。
デパートが無くなると誰が困るのでしょうか?中高年層の女性が「どこで洋服を買うの?」という疑問であります。専門店の敷居は高い、というより価格が高そう。スーパーの服じゃちょっと。まさかこの歳でユニクロというわけにもいかない…つまり、本来お金をもって消費してくれる人たちの消費喚起に結び付かない可能性があります。