価格高騰が続くコメの流通円滑化を促すため、農林水産省は凶作時などに限定してきた政府備蓄米の運用方針を転換、21万トンの放出を決めた。早ければ3月下旬にはスーパーなどに並び始めるが、消費者の期待通り価格は下がるのか。

―コメの値段の状況は。
 総務省の小売物価統計調査によると、東京都区部の「コシヒカリ」精米5キロは1月に4185円と過去最高に達した。1年前の1・7倍だ。2024年1月は2400円程度だったが、品薄となった「令和の米騒動」が起きた同年夏以降、急上昇している。

―なぜそんな事態に。
 取引業者が価格上昇を見込んで多く買い付け、売り渋るなどの「調達競争」が起きたという。24年産米の収穫量は前年を上回る見込みだが、全国農業協同組合連合会(JA全農)など主要な集荷業者は確保に苦労している。

―なぜ今、放出なのか。
 農水省は、24年秋以降に新米が本格的に出回れば、価格が落ち着くと見ていたが、高騰に歯止めがかからず、備蓄米放出を決断した。後手に回ったとの批判は強い。

―どう進めていく。
 入札を経て、大手集荷業者に3月中旬に引き渡す。価格に過度な影響を与えないよう、原則1年以内に買い戻す条件を付ける。初回は15万トン放出し、流通状況を見た上で残り6万トンの放出時期を決める。

―値段は下がるか。
 日本総合研究所の三輪泰史氏は、店頭に並び始める3月下旬から4月上旬には4000円をやや下回り、5~6月に3000~3400円程度に下がると予想する。一方で、ある卸売業者は「価格を大きく下げるには、21万トンでは足りない」と指摘している。

―農水省の対応は。
 必要に応じて21万トンを超える放出も検討する構えだ。ただ、価格が急落すれば農家の収入減につながりかねない。このため流通と価格の安定を慎重に見極めながら判断していく方針だ。(了)
(記事提供元=時事通信社)

提供元・Business Journal

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