NTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクに続く「第4のキャリア」として、2020年4月に正式サービスを開始した楽天モバイル。後発ならではの工夫として、契約にあたり「楽天会員ID」を必須とし、すでに楽天IDを作成済みなら簡単に契約できる。複数回線を契約する場合も、一つの楽天IDに対して携帯電話番号がひも付くため、利用状況・月額料金などを管理しやすい。
大手キャリアとは異なり、「利用者登録」「家族一括請求」の仕組みはなく、18歳未満の未成年者が楽天モバイルを契約する場合も、本人の楽天IDの登録が必要(18歳未満の未成年者は店頭手続きのみ)。また、楽天モバイル間で家族間譲渡・第三者譲渡・承継(契約者逝去に伴う引き継ぎ)は可能だが、税別3000円の名義変更手数料がかかる。ドコモ、auの場合、三親等以内の家族間の名義変更は無料なので、細かな点だが楽天モバイルのデメリットといえる。
家族一括請求とは、契約者名義の異なる複数回線の請求金額を合計し、まとめて請求するサービス。家族全員、同じキャリア(通信事業者)を利用し、現在、この一括請求サービスを利用して通信料金をまとめて支払っている世帯が、プラン料金1年無料・月間データ利用量1GB以下無料(4月1日以降のRakuten UN-LIMIT VI)などに魅力を感じ、楽天モバイルへの乗り換えを検討しているなら、この請求方式の違いは認識しておこう。
なお、18歳未満が店頭手続きに同伴した保護者名義、18歳以上が家族名義の銀行口座・クレジットカードで支払い可能なので、実際には家族分をまとめて支払うことは可能だ。クレジットカード・そのカードの家族カードの組み合わせで、引き落としをまとめることもできる。一方、「請求書はまとめられない」が、結果的に請求金額が「0円」や「980円(税別)」で済むなら、そもそもまとめる必要性は薄い。
一括請求の仕組みは、携帯電話が固定電話の延長として受け止められていた頃の名残とみなすと、契約者本人による支払い・個別の請求書(紙・オンライン)の方が自然だ。家族一括請求にこだわらなければ、楽天モバイルはもちろん、月間データ容量3GBで1000円台の安価なMVNO各社など、選択肢が一気に増えてくる。
総務省は、主にスマートフォン(スマホ)初心者向けに、キャリアの乗り換えを支援する対面の窓口「スマホ乗り換え相談所」事業の実証実験を21年度に実施する。どこまで公平にアドバイスできるのかは未知数だが、見直し相談の前に、「固定回線の料金・スマホの料金は誰が払うのか」は結論を出しておこう。キャッシュレス決済比率が高まるほど、家計は世帯ではなく、個人ごとの管理に行き着き、自分で稼いだお金が自由にならない「こづかい制」や「こづかい制を前提とした意識調査」は廃れていって欲しいと思う。
文・嵯峨野 芙美(BCN)/提供元・BCN+R
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