ここは土日も開館しているので休日でも中の様子をのぞくことができます。今は通り抜けはできませんが家の裏側が川に面していて、そこから船の荷物を上げ下ろししていました。土間もかなり広くなっていますがこれも船からあげられた荷物を保管しておくための場所です。

※広角レンズのため歪んでしまっています。

宿場町は街道の奥まった場所に寺社があるところが多いのですが、塩田宿にもいくつかの寺があります。本應寺の山門前には二体の仁王像が立っています。多くの仁王像は山門の建物の中にいますが、こちらは外で構えるスタイル。この仁王像は塩田石とよばれる石で安山岩の一種です。この近辺の狛犬や仁王像などの石像、敷石や水路に広く用いられました。塩田が発展したのは河口に便利な石があったことも大きく影響しています。

ちりめんの吊るし飾りも。

2月中旬から3月にかけて、廻船問屋の建物の中では雛人形が飾られて伝統的な建物に花を添えています。一般の方が飾っていた雛人形で使われなくなったものを譲り受けたもので10年ほど前から飾るイベントを続けているそうです。3月30日まで行っているそうですので、興味のある方は訪ねてみてはいかがでしょうか。

消防団の建物は明治末期のちょっと洋風な建物。

長崎街道の宿場町、そして水運の町として栄えた塩田宿。古い建物が多く残り、嬉野や武雄などの温泉地の近くにありながら観光客は少なめで静かに街を歩くことができました。温泉に浸かりに来た際にふらっと立ち寄って往時の繁栄を偲んでみるのもいいのではないかと思いました。

編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。