これまでの研究によって、ストレス時に血流に放出されるステロイドホルモン「糖質コルチコイド」のレベルの低下とPTSDの関連性が示唆されてきました。

この糖質コルチコイドは副腎で生成されるホルモンであり、ストレスに応答して分泌され、ストレスに適応するための様々な生体反応を引き起こすことで知られています。
そして糖質コルチコイドには、コルチゾールやコルチコステロンなどが含まれます。
サンディ氏によると、「糖質コルチコイドのレベルはかなりの個人差があり、特にトラウマ体験をしたPTSD患者では、糖質コルチコイドレベルの低下がよく観察されている」ようです。
では、糖質コルチコイドレベルの低下がPTSDを引き起こすのでしょうか?
その可能性はありますが、因果関係を証明することは簡単ではありません。
PTSD患者の、トラウマ体験以前の糖質コルチコイドレベルを測ることはできませんし、糖質コルチコイドレベルが低い人間に恐怖体験を与えてPTSDになるか調べるわけにもいかないからです。
そこでサンディ氏ら研究チームは、糖質コルチコイドレベルが低い人間を模倣したラットで因果関係を確かめることにしました。
ラットにPTSDを発症させるホルモンを特定
最初に研究チームは、「コルチゾール(糖質コルチコイドの一種)に対する反応が鈍くなったヒト」の模倣を、動物であるラットで行いました。
ラット版のコルチゾールである「コルチコステロン(こちらも糖質コルチコイドの一種)」への反応が鈍くなるよう、遺伝子操作したラットを作り出したのです。

次にチームは、この遺伝子操作ラットの脳領域の体積を測定しました。