SBI VCトレードは、日本で初めて規制に基づくステーブルコイン取り扱いの承認を得た企業となった。この承認により、同社は2025年3月12日から米国のサークル社が発行するUSDC(USDコイン)の取引を開始する。ただし最初はベータ版としてグループ内の限られた顧客に提供され、サービス開始後は個人や法人向けにもUSDCの売買や入金・出金サービスを提供する予定となっている。
USDCは米ドルに連動しており、SBI VCトレードは顧客が預けたUSDCに相当する額の米ドルを確保する必要がある。また、信託業務はSBIグループの新生信託銀行が担当することとなる。CEOの近藤智彦氏によれば、取引プラットフォームには「USDC」の表示がされ、BTC/USDCやETH/USDCなどの取引ペアで取引可能になるとのこと。レバレッジ取引にも対応予定で、将来的には仮想通貨上場予定一覧にあるような、さらにボラティリティが高い銘柄の取引にも対応することが期待される。
ちなみに、SBI VCトレードは仮想通貨取引所業務、金融商品取引業務第一種業務、電子決済業務の3つの運営ライセンスを保有する日本国内で唯一の企業ということになる。また、日本の金融庁は2024年2月、安定したステーブルコインを発行するために短期国債や定期預金を担保にする改革案を承認した。この改革により、ステーブルコインの担保に使用できるのは、預金や債券で最大50%に制限されることになる。
では、このニュースが今後の日本での仮想通貨業界にどのような影響を及ぼすのかを検証してみよう。
日本の仮想通貨市場の活性化
これまで日本ではステーブルコインの規制が厳しく、国内取引所での取引は制限されていた。しかしSBI VCトレードの認可によって、国内投資家が円建てのステーブルコインを利用しやすくなる。この変化により仮想通貨の市場全体が活性化し、新たな投資家の参入が促されることが期待される。従来、仮想通貨は価格変動が激しいことから投資に対するリスクを懸念する個人投資家も多かったものの、ステーブルコインの導入によって価値の安定性が確保され、リスクを低減しながらの取引が可能となる。
また、ステーブルコインの流通が拡大することで、国内の決済インフラの利便性も向上することだろう。例えば、仮想通貨取引所を利用する際、法定通貨から直接ビットコインやイーサリアムなどのボラティリティの高い資産に変換するのではなく、一度ステーブルコインを介して取引することで、価格変動のリスクを抑えつつ、スムーズな取引が可能となる。このような利点から、ステーブルコインの普及は日本の仮想通貨市場全体の流動性向上に寄与するものと考えられる。