レアアースはスマートフォン、電気自動車、最新の兵器システムなどに欠かせられない。特に深刻なのは重希土類金属の供給だ。これらは自動車産業だけでなく、米国の防衛産業にも不可欠な素材だ。現状では、重希土類金属は100%中国から供給されており、中国で採掘されるか、少なくとも精製されている。
オーストリア国営放送は13日、「レアアース、中国の支配は続く」というタイトルでドイツ鉱物資源庁(DERA)の研究結果を報告している。以下、その記事の概要を紹介する。
「DERAが13日に発表した研究によると、世界が中国に依存し続ける状況は当面変わらない。その理由は、現在のレアアース金属の世界市場価格が低迷していることだ。現在、レアアースを採掘・加工しているすべての企業が経済的な問題を抱えている。中国企業も例外ではない。そのため、他国での新たな採掘プロジェクトの実施が難しくなっている。さらに、中国以外の地域では、採掘や加工に必要なインフラが不足している。中国の場合、豊富なレアアース資源を持つだけでなく、長年にわたる大規模な政府投資によって原材料の精製ネットワークを築いてきた。さらに、この分野で必要な技術に関する特許を多数保有している。DERAの専門家によると、電気自動車のバッテリー、スマートフォン、風力発電機などに使われるレアアースの需要は今後大幅に増加する見込みだ。ちなみに、DERAの研究によると、2023年の世界のレアアース金属生産量の約60%が中国によるものだった。精製加工においては中国のシェアは93%に達している」
「デンマーク・グリーンランド地質調査所(GEUS)の推定によると、島内には3,610万トンのレアアース金属が埋蔵されている。しかし、米国地質調査所(USGS)によると、そのうち実際に採掘可能な量は約150万トンに過ぎない。これは、中国(4,400万トンの軽希土類・重希土類金属)やブラジル(2,100万トン)の埋蔵量と比べると、かなり控えめな数字だ。グリーンランドでは現在レアアースの採掘は行われていない。2021年にグリーンランド政府がウラン採掘を禁止したことで、中国が支援するレアアース開発プロジェクトも頓挫した。また、ウクライナにも複数のレアアース鉱床があるが、今のところ採掘はされていない。ウクライナでは、ザポリージャ、ドネツク、ドブラ周辺の地域には大量のレアアースが埋蔵されていると推定されているが、これらの地域はロシアが占領しているか、その周辺に位置している」