エーベルトがストに加わったのは、過激派を抑えて事態を収束させるためで、実際に当時は罪に問われなかった。ところがそれを①後出しの基準で「悪だ!」と断定し、②だから公職にふさわしくないぞと煽るのも、昨今のキャンセルカルチャーと同じですよね。
もちろんそれは「右からのキャンセル」なので、左の側から「正しい目的」で同じ手段を使うのは別にいいんだ! と言い張る理屈はあり得るし、現にそういう人も居るわけですけど。んん? それって「ナチスの手口」は便利だねって話と、なんか違うんですかね。

ありましたねこんな失言。2013年8月のANNより
……同じですから(笑えない)。
他人事じゃなくて、日本でも5・15事件(1932年)の審理に減刑の嘆願書が殺到し、軍法会議で首相を殺しても禁固刑でOKな「お気持ち判決」が出たことが、後の軍人の暴走を招いたと言われます。
今年はナチス・ドイツと、帝国日本の滅亡からちょうど80年。特定の党派に偏らず、正しく歴史に学んでみたい方々に、ぜひ今月の『文藝春秋』を紐解いていただければ幸いです!
(ヘッダーはWikipedia「ミュンヘン一揆」より。右から4人目の被告がヒトラー、手前に立つのが突撃隊長となるレーム)
編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2025年3月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。