松屋モバイルオーダーの利用増加に注力か

 その後は操作方法に変更が加えられたが、現在でもネット上では以下のような声がみられる。

<キャンセルボタンの位置が初見殺し>

<これホンマなんなん 種類選ぶ→量選ぶ→付け合せ選ぶの3回タップじゃあかんの?>

<処理がおそくて反応が悪い しつこいオススメ、キャンセルもわかりにくい>

<異様に時間かかって後ろに行列作ってから結局何も買えずに帰って行く人は月1くらいで見る>

<昔のボタン式の券売機のボタンレイアウトをそのまま表示すればいいだけなんだけどな>

 12月に券売機を使用したIT企業SEはいう。

「『牛めし』の並盛を選ぶと、『もう一品』をレコメンドする画面が表示され、『ポテサラ生野菜』を追加したかったのだが、その画面のなかにはなく、上のほうに『もう一品』のようなボタンがあったので押したが、何も反応がなく、どうすればよいのかわからず手が止まってしまった。下のほうをみると小さな『追加購入する』というボタンがあったので押すと、画面が遷移したものの、どこを押せば『ポテサラ生野菜』が出てくるのかわからない。上に『牛めし』『カレー』などのカテゴリー別のボタンが並んでいるが、『サイドメニュー』のボタンがなく、戸惑っていると、そのカテゴリー別ボタンの両端に矢印ボタンがあることに気が付き、それを押すと別のカテゴリー別ボタンが複数表示されたものの、そこにも『サイドメニュー』ボタンがない。何度か矢印ボタンを押していると、『おつまみ』というボタンが出てきて、これだと思って押したが、『ポテサラ生野菜』は出てこない。再びいろいろ操作していると『サイドメニュー』というボタンが出てきて、それを押してようやく『ポテサラ生野菜』が表示されたが、気が付くと後ろに4人くらい他の客が並んで行列ができていてテンパってしまった。ちなみにその店舗には一つしか券売機がなく、常に3~5人の列ができていて、列をみて帰ってしまう客もいた。

 別の日に『牛生姜焼定食』の生野菜サラダ抜きのライスセットを注文しようとしたところ、カテゴリー別ボタンに『ライスセット』がなかったため、とりあえず定食カテゴリーを選ぼうと思ったが、定食関連だけで複数のカテゴリーがあり、どのカテゴリーに『牛生姜焼定食』があるのかわからない。いくつかカテゴリーボタンを押していると『牛生姜焼定食』を見つけ、生野菜サラダを抜きにするかライスセットを選ぼうと思ったが選べず、店員さんに『券売機でライスセットは注文できますか?』と聞いたところ、『ライスセット?』と聞かれたので、『生野菜サラダ抜きのやつです』と言ったところ、『多分できます』とのことで、店員さんに券売機を操作してもらったが、結局できず。気が付くと後ろに4人ほどの行列ができていたので、『すみませんでした』と謝って店を出た。ちょっと操作性に難があるのは否めないと感じる」

 別のIT企業SEはいう。

「システムは大雑把にいうと『なんとなく使いやすくて操作中に迷うことがない』ものと、『なんとなく使いにくく操作中に迷う』ものに分けられるが、マクドナルドやすき家は前者、松屋は後者といえ、松屋の券売機は支払いが完了するまでにタップする回数が多くて時間がかかる。これは操作フローの設計の問題もあるだろうが、松屋のメニュー構成も影響しているのかもしれない。例えば定食で生野菜のサラダを抜いてメインの肉料理とライス、味噌汁のみにしたい場合、ライスセットという形態を選ぶことになるが、これは定食カテゴリーでは注文できない仕様になっている模様。なので、いったん定食を選んだ後にそれをキャンセルして、メイン、ライス、味噌汁をすべて単品でカートに入れる人も出てくるだろうが、そういう人は『これは面倒』と感じるだろう。また、丼物だけを単品で注文したい人にとっては、サイドメニューはいらないということをいちいち確認させられたり、どのボタンを押せばよいのかわかりにくいシーンもあり、イラっとしてしまうつくりになっている」

 あまり改善はみられないようだが、外食チェーン関係者はいう。

「松屋は今、スマホアプリ『松屋モバイルオーダー』からのオーダーの比率を高めようと力を入れている。公式YouTubeチャンネルにも、店内で自席に座ったままスマホでオーダーできる便利さをPRする動画をアップしており、場所も占有して維持費もかかる券売機を減らしていきたいという思惑があるのだろう」

 このYouTube動画では『券売機に並ばない!』というキャッチコピーが打ち出され、男性客が券売機の前にできた行列を一瞥しながら店内に入り、席に座ったままスマホアプリでオーダーするという内容だが、自社が設計した券売機でもたついている客を見下しているようだという反応も寄せられている。