
このクルマが似合うようになれば本物
マセラティのオープントップモデルはいつもカッコいい印象しかない。2シーターはもちろん4シーターであってもデザインのクオリティは高い。リアシート分ホイールベースが伸びても不格好にならない。それどころかエレガントな要素が新たに生まれるほどだ。
そんなオープントップモデルの歴史は、マセラティジャパンによると1950年代のA6G 2000スパイダーに遡るらしい。その後、60年代の3500GTスパイダー、ミストラル・スパイダーが生まれ、ギブリ・スパイダーやビトルボ・スパイダーに引き継がれ、先代のグランカブリオが誕生する。その流れを鑑みると新型グランカブリオはまさに集大成。マセラティ・ブランドの高貴で二枚目な雰囲気を漂わせている。
グランカブリオのポジションは先にリリースされたグラントゥーリズモの屋根開き版。なので、リアには小ぶりながらシートが2座備わる。トップは幌型で5色用意される。開閉操作はセンターモニターのイラストあたりを指で左右になぞると幌が反応するという仕組みだ。物理スイッチではないのがイマドキである。
オープン時の走行に関しては2つのポイントがある。風対策と寒さ対策。前者はウィンドリフレクターが対応する。リアシートをつぶすようなカタチになるが、装着すると快適なのはいわずもがな。後方からの風の巻き込みを防ぐので髪の毛が逆立つのを防いでくれる。後者はエアコン/シートヒーター/ネックウォーマーの「三種の神器」が役にたつ。とくにネックウォーマーは効果抜群。加減具合では額にうっすらと汗をかくほど身体を温めてくれる。


そんな装備をフルに活用して晩秋の箱根を走った。オープントップの気持ちよさ炸裂だ。澄んだ空気を全身に浴びながら遠くの山々を屋根が邪魔することなく見渡すことができる。森林の香りを感じるのもオープントップならではだ。さらにいえば、マセラティの場合キャビンはエキゾーストサウンドを耳にする特等席となる。あの官能的な響きを最も身近で感じられるのだ。
なんて感じでオープンエアモータリングに酔いしれているとあることに気づいた。それはこのクルマの乗り心地のよさ。フロントがダブルウィッシュボーン、リアが5リンク式のセッティングもそうだが、エアサスペンションが効果を発揮している。路面からの入力に対しての当たりは柔らかく、その先にしっかり感が待ち構えている。速度に対する車高調節もグッド。全体的にはコンフォートだが、速度域が上がると車高が下がりスポーティなフィーリングを味わせてくれる。


エンジンは550㎰を発揮する3リッター・V6ツインターボ。速いだけでなく気持ちよく回るのがこのブランドのウリ。それは伝統でもあり新世代エンジン「ネットゥーノ」の真骨頂でもある。
その意味からもイタリアン・テイスト満載の1台と表現して間違いない。

文・九島辰也、写真・横田康志朗/提供元・CAR and DRIVER
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