これは、極低温の原子系に頼らなくても、光と物質の相互作用をうまく利用して超固体的な相を作り出せる可能性を開くもので、物理学に新しい道をもたらすでしょう。

特に、結晶格子の間隔が変化しうる“流れる結晶”のイメージは、従来の“結晶=固定された構造”という常識を覆すものです。

同時に、超流動特有の柔軟な並進を持ち合わせることで、今後はゴールドストーンモードやヒッグスモードといった集団振動、さらには二次元・三次元へ拡張したときの渦や対称性の破れなど、新たな量子現象を探索できると期待されています。

また、こうしたフォトニック結晶を使った超固体は、将来的に超伝導や量子デバイス、光通信技術などへの応用が見込まれます。

たとえばエネルギー損失を極限まで抑えた光デバイスを設計するうえで、結晶構造と超流動を併せ持つシステムは大いに参考になるかもしれません。

今回の成果は、“光と物質の融合”が生む柔軟な結晶の姿を明確に捉えた点で大きなインパクトを与え、未来の量子技術や計測技術の進化を加速させる可能性を秘めています。

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元論文

Emerging supersolidity in photonic-crystal polariton condensates
http://dx.doi.org/10.1038/s41586-025-08616-9

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部