日本にいると、なかなか外国の、特に発展途上国の情報は入ってきませんよね。タンザニアに旅行する際、気になるのが治安やその他の危険情報かもしれません。備えあれば憂なし!事前に調査して、リスクを最小限にした旅を楽しみましょう。
今回は、知っておいた方がいい、ここ最近のタンザニアと周辺国の危険情報をお伝えします。
※情報は全て2025年2月上旬時点のものです
交通事故の増加
タンザニアは宗教国で、キリスト教徒とイスラム教徒約6:4の割合で、平和に仲良く暮らしています。祝日ももちろんそれぞれの宗教の慣習を取り入れ、国として両方お休みにしています。12月はクリスチャンにとって最大の連休で、1月のお正月にかけて帰省時期になります。
今回このバケーション時期に、交通事故が多発しました。いつも休暇の時に増えるのですが、今年はいつもより大きな事故が多かった印象です。主な原因は以下の通りです。

スピードの出し過ぎ
都市部では車が少なくなり、スピードを出しやすい環境になります。また田舎へ帰省する人たちは長距離を運転するのですが、なんとか早く着こうとついスピードを上げ過ぎてしまうようです。
無理な追い越しによる正面衝突
日本より無謀な運転をする人が多く、隙あらば無理に追い越そうとする車がいっぱいです。坂道やコーナーなどでも、対向車をよく確認せずに反対車線に飛び出し、正面衝突するという事例が多いです。
長距離バスの無茶な運転
タンザニアの地元人の足である長距離バス、毎日何百と運行されています。車体が大きいので、他の車を威嚇しながら、一台でも追い越していこうとします。
接触事故が毎日多発しているようですが、支払いに応じずそのまま逃げてしまうことが日常茶飯事です。こういったバスに衝突して死亡事故になるケースが頻発しています。

飲酒運転
法的に、飲酒の影響がある中での運転は禁止、とされてはいます。アルコール血中濃度は0.08%以下ということで、日本の0.03%と比べると取り締まりは緩い印象です。ビール2~3本飲んで運転、というのも普通のようです。夜間に自損事故を起こしたりする人が多いようです。
以上の状況から、自分の身は自分で守る必要があります。次の点を意識しておくことをおすすめします。
乗り物利用の注意点
・道路を歩く時、渡る時は常に注意を怠らない
・タクシーを利用する際は、必ずドライバーの様子がおかしくないか確認
・なるべくバイクタクシーは避け、三輪タクシー(バジャジ)または車を選択する
・長距離バスを利用する時は、信頼のおけるバス会社を選ぶ
・いいバス会社が分からない場合、鉄道か飛行機での移動がおすすめ
・運転する場合は変則的に動くバイクやバス、追い越し車に注意

感染症
アフリカの病気といえばマラリアやデング熱など、蚊が媒介する感染症を思い浮かべるかもしれません。地元の人にとってマラリアは、日常茶飯事な風邪のような病気なので、かかったことのない人を探す方が難しいほど一般的です。
今年に入ってからタンザニアでマールブルグ病とコレラ、ウガンダでスーダン型エボラウイルス病が確認され、注意喚起がなされています。特にマールブルグとエボラは致死率の高い病気ですので、予め情報を得ておくことは大変重要になります。
マールブルグ病はエボラに似た病気で、致死率は状況によって80%にも90%にも上ると言われています。ウイルスを持ったコウモリや感染者の体液に接触することで、感染します。高熱、頭痛、関節や筋肉の痛みから始まり、嘔吐、下痢、発疹などの症状が出ます。重篤になると出血や臓器の機能障害に発展し、死に至ります。
スーダン型エボラは他のエボラウイルスより致死率が低いとされていますが、それでも状況によって致死率40%〜100%に達する恐ろしい病気です。症状も感染源もマールブルグとほぼ同じです。

マールブルグはタンザニアの北西部カゲラ州(ウガンダ・ルワンダ・ブルンディとの国境に接する区域)で発生し、今年1月20日にWHO事務局長とタンザニア大統領の共同記者会見時に公表されました。2月10日現在までで、10人の感染者のうち9人が亡くなっています。
対して今回のエボラはウガンダの首都カンパラで発生しました。2月1日にWHOが、1人の死亡を確認したと公表しました。40人以上が患者と接触していたといい、現在隔離などの処置をして追跡調査中とのこと。
どちらのケースもWHOとの連携の下、大ブレイクにならないよう医療班が働いてくださっています。旅行者ができることは限られていますが、以下の自衛対策ができます。
感染症予防策
・感染症発生地域に行かない
・動物に近づかない
・外務省「たびレジ」に登録して、最新情報を入手する
・手洗いやアルコール消毒を習慣にする
・周囲の人の咳などに注意する(タンザニアはマスクの習慣がない)

隣国コンゴの戦争
テレビやネットの普及が日本ほどではないタンザニアですが、多くの地元の人も隣国コンゴ民主共和国の戦争について聞き及んでいます。何千人もの人たちが避難を余儀なくされ、何百人もの人が亡くなっている、と聞いています。突然の凶報に地元の人たちも驚きを隠せません。
コンゴとの国境はタンザニアの中西部にあり、同じスワヒリ語を使う国です。タンザニアに住むコンゴ人も多く、地元民にとって身近な存在です。またコンゴはタンザニアの港をハブとして使って輸入している一番のお得意様なのですが、戦争によって配達ルートが狭まれてしまい、荷物を届けられていないトラックが100台近くに昇っているとのこと。
つい先日2月8日には、東アフリカ共同体(EAC)と南部アフリカ開発共同体(SADC)の加盟国のトップたちがタンザニアに集まり、コンゴ戦争に関する会議を行いました。コンゴ民主共和国大統領は実際にタンザニアまでは行けなかったものの、ビデオを通じて参加したと話題になっていました。

日本のニュースサイトなどでは、外国の情報が遅れて入りがちです。戦争などの緊急事態の場合、外務省がすぐに情報を発信してくれて、渡航中止勧告などが出されます。外務省の公式サイトなどで旅行予定の国を検索し、危険情報をチェックすると安心です。勧告には速やかに応じるように心がけたいものです。
最後に
今回は最近のタンザニアとその周辺諸国の危険情報についてお伝えしました。十分な情報と予防対策で、安心安全なご旅行ができることを願っております。
【文・写真 Miyuki Meta/提供元・たびこふれ】
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