野生のネコから人類によって家畜化された種を「イエネコ(学名:Felis silvestris catus)」と呼びます。
イエネコの起源は中東にありますが、彼らがいつどのようにして中国に伝来したのかは長らく謎のままでした。
しかしこのほど、中国・北京大学による最新のDNA研究で、ついにこのミステリーが解き明かされたようです。
それによると、イエネコは少なくとも8世紀ころにシルクロードを通じて中国に伝わっていたことがわかりました。
研究の詳細は2025年2月6日付でプレプリントサーバー『bioRxiv』に公開されています。
目次
- ネコはどのように家畜化されたのか?
- いつ誰が中国にイエネコを持ち込んだのか?
ネコはどのように家畜化されたのか?
ネコと人間の関係は約1万年前の中東にさかのぼります。
人類が住居を築いて定住し、家族や仲間たちと農業を始める中で、ネズミが群がるようになりました。
すると、地元の「リビアヤマネコ(学名:Felis lybica)」が近づいてくるようになり、ネズミを積極的に食べてくれることから、人間と共生するようになったのです。
そしてリビアヤマネコが家畜化されることで、飼育が容易になった「イエネコ」が誕生しました。

その後、イエネコは交易や移住を通じて各地に広がり、約3000年前にはヨーロッパでも飼育されるようになったと考えられています。
しかし一方で、イエネコが東アジア、特に中国へいつどのようにやってきたのかは、これまで明確にされていませんでした。
一部の研究者は「紀元前206年から紀元後220年の漢王朝の頃にはすでにイエネコが存在していた」と主張していますが、その根拠となる考古学的な証拠はありません。
他方で、中国の農村部には在来種の「ベンガルヤマネコ(学名:Prionailurus bengalensis)」がいましたが、イエネコのような家畜化には至っていません。