利用者が急増している退職代行サービス「モームリ」について、ある弁護士が非弁行為に該当するため弁護士法違反に該当するのではないかとX(旧Twitter)上にポスト。これに対しモームリ運営会社アルバトロスの谷本慎二社長がX上で「説明しましょうか?」と反応し反論。SNSという公開の場で、弁護士から次々に出される質問に回答して“ラリー”が展開されている件が話題を呼んでいる。弁護士等でない者が法律的な問題について、本人を代理して相手方と交渉することは非弁行為に該当するが、谷本社長は「そもそも弊社は企業側と交渉はしないので、非弁行為には該当しない」と説明する。谷本社長に詳細を聞いた。

 労働者本人がなんらかの理由で所属会社に直接、退職の意思を告知することを避けたい場合に、それを代行してくれる退職代行サービス。そんなサービスを社会的にポピュラーな存在にまで押し上げたといえるのがモームリだ。昨年8月の時点で、2022年3月の事業開始からわずか2年4カ月で相談件数2万8000件、退職代行実施件数1万5000件を突破。利用によって蓄積された膨大なデータの公開に積極的なのもユニークな点で、昨年8月には利用者1万5934人分について、退職代行利用の経緯・退職理由、性別・年代別利用者数、職種別利用者数、勤続年数別利用者数、退職金制度の有無、複数回退職代行を利用された企業などを公開。今年2月には、最も多く利用された企業40社を発表(1位:人材派遣会社、2位:コンビニチェーン、3位:人材派遣会社)して話題を呼んだ。

「非弁行為に該当するか否かという話ではないんです」

 そんな同社のサービス内容について、ある弁護士が非弁行為に該当しているのではないかと指摘し、議論を呼んでいる。

 モームリの利用イメージはこうだ。退職の意思を持つ利用者は退職代行業者と打ち合わせを行い、業者が利用者の所属会社に退職の意思を連絡。退職届の提出や会社からの貸与品の返却、オフィスに残っている私物の返却など必要な手続きは郵送で行い、退職が確定する。利用者本人が会社と直接やりとりすることなく退職に至る。サービス内容については弁護士の監修を受けており、労働組合法適合の資格証明を受けた「労働環境改善組合」と提携しており、労働組合の組合員が団体交渉権を持って企業と交渉を行うため、企業側は原則これを拒否することはできないという。料金は正社員・契約社員・派遣社員・個人事業主は2万2000円(税込)、パート・アルバイトは1万2000円。退職できなかった場合は全額返金される。

 今回、前述の弁護士は、モームリが実質的に退職交渉まで行っているのではないかと懸念され、労働者と会社間の紛争が避けられない局面となった以降に話し合い・交渉を継続すると弁護士法72条違反になる可能性が高いとして、サービス内容が法律に抵触しているのではないかと指摘している。X上では弁護士から繰り返し出される質問に対して、一つひとつ谷本社長が回答するというかたちで、やりとりが続いていたが、谷本社長はBusiness Journalの取材に対し、次のように説明する。

「先方の弁護士の方が、当社のサービス内容をあまり把握されておられないのかなということはありまして、弊社のサービスでは、会社側との交渉に該当する事例の場合は対応していません。当社にご依頼が来た時点で『退職の確定』に重きを置き、当社はあくまで会社に利用者の退職の意思をお伝えするというかたちにとどまっております。それによって、正社員であれば法律に則って2週間後に退職が確定するという流れです。契約社員などの有期雇用の場合は、やむを得ない理由をお伝えして、退職が確定するというかたちになります。

 たとえば会社側から『今から退職日まで2週間、ずっと出勤しないのか』と聞かれれば、『本人は“どうしても出勤できない”と言っています』『御社としても2週間出勤してもらうメリットはないかと思います』と伝えて、それで終わりです。ほとんどが即日、もしくは最終出勤日に退職が決まるという流れで、当社が行うのは、それだけです。基本的には退職をするという事実を伝えて、確定するという流れなので、非弁行為に該当するか否かという話ではないんです。

 例えば賃貸住宅のオーナーが不動産管理会社に依頼して、家賃を滞納している入居者に督促の連絡をさせるケースで考えてみると、不動産管理会社が単に『家賃を支払い忘れてますよ』と入居者に伝えるだけなら、非弁行為にはならないと思いますし、『不動産管理会社は非弁行為をやっているから、なくそう』という声はあがっていません。

 よく勘違いされるのですが、未払い給与や残業代の請求などの退職以外の内容のご依頼が来た場合は、弁護士や労働基準監督署にご相談してはいかがでしょうかとお伝えしています。また、最近では、退職を伝えた企業と交渉にまで発展することは、ほとんどありません。企業側も『あ、そうですか』という感じで終わることが多いです。利用者の方から相談をいただいた段階で、交渉が必要になりそうな案件であれば、弁護士を紹介するようにしています」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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