製造時のCO2排出量削減にも貢献
3月5日のアンベールが近づいているボルボの新型「ES90」であるが、またもその内容の一部が明らかにされた。今回は航続距離や採用素材についての情報である。

それによると、ボルボES90は新しい800ボルト(V)テクノロジーを搭載して登場するという。800V電気システムの利点は数多くあり、ボルボではそれについて、バッテリーの充電がより速くなり、搭載されたEVの総合的な性能が向上し、400Vシステムに比べて電気システムがより効率的になることだとしている。
このシステムに、まったく新しいバッテリーマネージメントのソフトウェアとハードウェアを組み合わせることで、これまでのボルボの全EVより航続距離が長く、より高速に充電ができるクルマが実現したという。これについてボルボは、350kWの急速充電ステーションで、僅か10分間で300kmの航続距離を追加でき、WLTPテストサイクルでは最大700kmの航続距離を可能にすると説明。

ボルボ・カーズのエンジニアリング&テクノロジーの責任者であるアンダース・ベルは、「ボルボの800Vテクノロジーは、完全な電動化に向け、さらなる重要な技術的アップグレードをお客様にもたらします。このテクノロジーにより、私たちのEVはより効率的になり、あなたのボルボのEVはより早く充電でき、1回の充電でより遠くまで行けるようになります」と述べている。
800Vで、すべてがさらに進化
この新しい800Vシステム開発にあたり、バッテリーセル、電気モーター、インバーター、充電システム、そして空調や熱管理システムなど、電気システムのあらゆるコンポーネントが、800Vに対応するようにアップグレードされ、充電、効率性、性能の面において利点が生まれたとのこと。
より高電圧のシステムは、より多くの電力(kW)と航続距離を従来の400システムと同じ電流で供給できることを意味する。この方式では発熱が少ないため、電気システムに過負荷をかけることなく、最大350kWでより速くバッテリーを充電できるという。また、より軽量な電気モーター等が採用されており車両全体の重量を軽減、これによりシステムの効率が向上し、加速性能と航続距離も向上していると説明されている。

ボルボの独自新開発によるバッテリーマネージメント・ソフトウェアは、10%から80%まで充電するのにかかる時間を30%削減、20分にまで短縮したという。この成果の一部は、Breathe Battery Technologies社のアダプティブ・チャージング・ソフトウェアを導入したことによるものとのこと。同社は、ボルボのコーポレート・ベンチャー・キャピタル部門ボルボ・カーズ・テック・ファンドを通じて昨年投資した企業だという。
サステナビリティへのフォーカス
ES90では、サステナビリティに関連する他の分野での貢献も図られているそうだ。リサイクル素材や天然素材がふんだんに使用され、製造時のCO2排出量削減に貢献しているとのことである。使用される全アルミニウムの29%、全スチールの18%がリサイクル素材で、さらに16%のリサイクルポリマーとバイオベース素材を使用、車内のウッドパネルにはFSC認証の木材が使われていると、ボルボは説明している。

またバッテリーパスポートも実装されており、ブロックチェーン技術に基づいて、原材料を追跡することが可能だという。このパスポートを見れば、バッテリーに使用されているリチウム、コバルト、ニッケル、グラファイトの原産地がわかるほか、バッテリーパック全体のCO2排出量やその他関連情報も明記。
ボルボES90は2025年3月5日に世界に向けて発表されるが、その発表の模様は、ボルボ公式サイトのES90特設ページからライブストリーミングで見ることができるという。

文・LE VOLANT web編集部/提供元・CARSMEET WEB
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