秩父といえば、長瀞渓谷や標高1,000メートル級の山々が連なる自然、八十八か所巡りや秩父神社に代表される歴史や文化、さらにわらじカツ丼、みそポテト、秩父ワインなどのグルメが堪能できる魅力あふれる観光地です。
東京から片道2時間足らずの距離にあり、四季折々の美しい風景や地元の伝統文化を体験できるスポットが散在しているため、訪れる人々を魅了し続けています。
今回は、秩父市のおすすめ観光スポットを私の目線でご紹介します。自然の中でリフレッシュしたり、歴史を感じたり、地元の美味しい料理を楽しんだり、さまざまな楽しみ方ができる秩父の魅力をお伝えしたいと思います。
目次
かかしがお出迎え「贄川宿」

贄川宿(にえがわじゅく)は、秩父鉄道の終点・三峰口駅からおよそ1kmの距離にあり、江戸時代から昭和初期にかけて三峯神社参詣や秩父と甲州を往還する商人の宿場として栄えた場所です。
贄川宿では、かつての賑わいを取り戻そうと、2016年から「かかしの里」作りが始まりました。贄川宿を歩いていると、至るところに愛嬌たっぷりの「かかし」たちが現れます。

<駐車場で待ち受ける(?)かかしたち>
畑仕事をするかかし、縁側で日向ぼっこをするかかし、ベンチで休憩する親子のかかしなど、その数はなんと60体以上!(諸データ存在しますが。)
かかしたちは思い思いの場所にいて、思い思いの姿で私たちを迎えてくれました。最近は田んぼに行っても光る鳥よけなどを見ることが多く、かかしを見ることが少なくなりましたが、贄川宿ではまるでタイムスリップしたかのような懐かしい風景が広がっています。

<お医者さん?>

<建物もレトロ>

<かかし広場>
急な坂道を上った御岳山登山口の近くには「かかし広場」があり、そこには数多くのかかしが風情ある景色の中に溶け込んでいます。広場からの眺望は素晴らしく、甲山や秩父の街並みを一望できます。

<武甲山と秩父の街並み>

<超レトロなオブジェ?>
右側のドラム缶に乗っているのは大きな釜だと分かりますが、左側のものは一体何?しかも、文字が右から書いてある?
実は、足踏み式の脱穀機なのだとか!
贄川宿
- 住所:埼玉県秩父市荒川贄川
秩父札所32番・法性寺の奇妙な岩窟「タフォニ」

秩父札所巡りで訪れた法性寺(ほうしょうじ)は、32番の札所として知られています。特に、観音堂の裏手にある奇妙な岩窟「タフォニ」や、絶景ポイントとして有名な「お船岩」が訪れる人々の心を引きつけます。

<苔生した石の階段>
法性寺の鐘楼門は宝永7年(1710年)に建てられた珍しいもので、1階に仁王像、2階に鐘が吊るされています。石段の途中にある石灯籠は増上寺にあったものだそうです。境内は苔むしており、「秩父の苔寺」とも呼ばれる静かで厳かな雰囲気です。

観音堂の裏手には「タフォニ」と呼ばれる大きな岩窟があります。中には蜂の巣状の多数の穴(ハニカム)が見られ、これは岩石の中の塩類が表面に染み出し、結晶化して岩石の表面を崩したものです。自然の力によって作られた不思議な光景に目を奪われました。
観音堂から少し戻り、岩の間をくぐって山道を登ると、「お船岩」と呼ばれる船のへさきのように突き出した巨大な砂岩が現れます。その先には「お船観音」が安置されています。ここは秩父盆地を見渡せる絶景ポイントだそうで、私は時間の関係で登りませんでしたが、体力と時間に余裕のある方はぜひ挑戦していただきたいと思います。
般若山 法性寺
- 住所:埼玉県秩父郡小鹿野町般若2661
- TEL:0494-75-3200
- アクセス:西武秩父駅から西武観光バス「小鹿野車庫・栗尾行」で松井田下車(約60分/4km)、または小鹿野町営バス「西武秩父線」長若中学校前下車(約30分/2km)
地産地消のイタリアンレストラン「クリエッタ」

創作イタリアンレストラン「クリエッタ」では、地元の食材をふんだんに使用したこだわりのイタリアン料理を味わえます。クリエッタは、秩父の山々に囲まれた静かな場所に位置しており、都会の喧騒を離れてゆっくりと食事を楽しみたい方にぴったりです。

<広々とした店内>
料理は地元の食材を最大限に活かした独創的なイタリアンで、秩父で採れた新鮮な野菜や地元産の肉を使った料理は、素材本来の味を引き立てます。メニューは定番のパスタやピザから創作料理まで種類豊富で、どれも見た目が美しく、食欲をそそります。

<地元の野菜をふんだんに使ったサラダ>
ドレッシングソースはお店オリジナルの人参ドレッシング。

<おまかせ前菜2種>

<自家製ベーコンとお野菜いろいろミックスPIZZA(ハーフ)>

<デザートとコーヒー>

<お天気の日にはテラス席で>

<石川さんご夫妻>
オーナーの石川さんは、長年サラリーマンをされていましたが、2019年に故郷の秩父でクリエッタを創業しました。地元産の食材や自家製のベーコン、コーヒーにもこだわりを持たれています。奥様と二人三脚の姿がとても微笑ましいと感じました。
もちろん、料理も大変美味しかったです! ごちそうさまでした。
クリエッタ(Creatta)
- 住所:埼玉県秩父市別所414-3
- TEL:0494-26-5955
- 営業時間 :ランチ11:30~15:00(L.O.14:30)、ディナー17:30~21:00(L.O.20:00)
- 定休日:木曜日、第1金曜日、金曜日のランチ、
古民家を改装した隠れ家的なバー「ハイランダーイン」

ハイランダーイン秩父は、西武秩父駅から約700メートルの東町通りにある築100年以上の古民家を改装した隠れ家的なバーです。静かな環境の中で、落ち着いた雰囲気を楽しむことができます。店内は木の温もりが感じられ、どこか懐かしい空間が広がっています。
ハイランダーインの魅力は、豊富な種類のウイスキーです。スコッチウイスキーを中心に、世界中のさまざまなウイスキーが取り揃えられており、ウイスキー好きにはたまらない場所です。数ある種類の中から選んだお気に入りの一杯を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

ハイランダーインでは、秩父市内のウイスキー蒸留所で世界的に高い評価を受けているプレミアムウイスキー「秩父のイチローズモルト」を楽しむことができます。
私はイチローズモルトの10年物をロックでいただきました。ミズナラ樽由来の白檀の香りが印象的で、スモーキーな香りに、秩父にこんなに美味しいウイスキーがあるなんて!本当に目から鱗でした。
美しい自然に囲まれたこの場所では、地元の水源を活かし、伝統的な製法で丁寧にウイスキーが作られています。あまりの美味しさに、翌日酒屋さんに駆け込んでイチローズモルトを購入してしまいました。

ハイランダーイン秩父
- 住所:埼玉県秩父市東町16-1
- TEL:0494-26-7901
- 営業時間:15:00~23:00
- 定休日:月曜(祝日の場合は翌日に振替)
焼き鳥と窯で炊く銀シャリ飯が滅茶苦茶美味い「車屋本店」

秩父鉄道・秩父駅前にある「車屋本店」は、創業100年以上の歴史を誇る老舗居酒屋で、地元の人々や観光客に愛される人気のスポットです。店内は活気に満ちており、店員さんの気持ちの良い対応も、多くの人に愛されている理由の一つです。
このお店の名物は、なんといっても「地鶏の炭火焼き鳥」です。新鮮な岩手県産の地養鶏を使用し、備長炭で丁寧に焼き上げた焼き鳥は外はカリッと、中はジューシーで絶品です。秘伝のタレがしっかりと染み込んだ焼き鳥は、食べるたびにその旨味が口の中に広がります。
さらに、車屋本店のもう一つのおすすめは、釜炊きの「銀シャリ」です。大きな釜戸で炊き上げられたご飯はつやつやでお米本来の甘みが感じられ、焼き鳥との相性も抜群です。居酒屋なのに、お酒をたくさん飲んだ後でもご飯がしっかりとお腹に収まってしまいました。

<釜から直接ご飯をいただきます>

おかずは、明太子、焼き海苔、梅干し。他には何も要りません!

車屋本店
- 住所:埼玉県秩父市宮側町6−11 秩父通運ビル1F
- TEL:0494-25-5525
- 営業時間:17:00~22:00(L.O.21:30)、金・土17:00~23:00
- 定休日 : 月曜日、12月31日と1月1日
さいごに
今回、私は山梨県の甲州市から埼玉県の川越へ取材で移動する際に、秩父を経由しました。秩父は都心から近いため、日帰りの観光客が多数訪れますが、私が1泊して古民家を改装したバーや地元民に人気の居酒屋を訪れたことは、大きな収穫でした。
やはり、宿泊することでその土地の良さが分かるものだと、今回しみじみ感じました。皆さんもぜひ、秩父へ出かける際は1泊して、その土地の魅力に触れてみてくださいね。
文・写真・えいた/提供元・たびこふれ
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