
J2水戸ホーリーホックの新スタジアム建設計画をめぐり、水戸市の高橋靖市長は2月25日の定例記者会見で、市としての財政支援は行わない考えを示した。建設には200億円程度の費用がかかると試算されているが、市長は「市民の理解を全く得られない」「市民センターの長寿命化など生活に密着した施設の整備を優先しなければならない」と強調したと報道された。
クラブは2019年11月、J1基準を満たす新たなサッカー専用スタジアムの建設を「民設民営」方式で行う計画を発表。2022年には候補地選定の最終段階に入り、2028年度の完成を目指していた。しかし、コロナ禍による経営環境の変化や建設資材・人件費の高騰を理由に、2024年には「公設」案を模索し始めた。クラブ側は自治体の支援が不可欠であると強調したが、市の財政負担を前提とするこの方針に、高橋市長は否定的な立場を取った。
水戸市は過去にスタジアム改修計画を進め市議会の承認も得ていたが、敷地問題等で計画が中断されると、クラブ側が民設民営で進めると発表。結果的に市の改修計画は白紙化し、市とクラブの関係に溝が生じることとなった。高橋市長は「何の協議もなく発表された」と述べており、クラブ側の対応に対する不信感を隠さない。
この事態に、サポーターからはファンサイトにクラブの対応を疑問視する声や、見通しの甘さを指摘する意見が寄せられている。
「協議なしに独自の計画を進め、今になって“支援してほしい”と言われても虫が良すぎる」「市が関与しないと言うのは当然の流れ」「なんとか長年時間をかけてきて、市とクラブの関係改善をしてきたのに、また微妙な空気感になってしまう」「結果論だけど、こうなると水戸市の改装案を選んでおけば良かった」
クラブが市の支援が得られない可能性を考慮せず、新スタジアム構想を進めたことへの批判は根強く、計画性や自治体との関係構築のあり方が問われている。一方で、高橋市長は公設の方針には否定的ながら、周辺の環境整備や法的手続きの円滑化には協力する姿勢を示しており、引き続きクラブを応援する考えも示している。