【ケープタウン時事】日米欧や中国、ロシアなどが参加する20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が27日、南アフリカ・ケープタウンで2日間の日程を終えて閉幕した。トランプ米大統領が保護主義的な政策を打ち出す中、世界経済を取り巻く不確実性や分断への懸念が相次いだものの、米国をはじめとする複数の国が閣僚の出席を見送り、先に行われたG20外相会合に続き共同声明は採択できなかった。
議長国の南アは「議長総括」を発表し、紛争や戦争、地政学的緊張、経済の分断、保護主義の台頭などを経済の下振れリスクと位置付け、「経済成長を妨げる可能性がある」と指摘した。その上で、「保護主義に抵抗することに対するコミットメント(約束)を再確認した」と表明した。
共同声明の見送りは、2024年2月以来3会議ぶり。南アのゴドングワーナ財務相は閉幕後の記者会見で、「さまざまな問題で(加盟国間の)相違があった」と明らかにし、多国間協調の難しさをにじませた。一方、斎藤洋明財務副大臣は「連携の重要性を指摘し、日本のプレゼンス(存在感)を示せた」と語った。
26日の初日の会議では、「不確実性や分断、保護主義を避けて自由な経済や貿易を維持することが大事だと発言する参加者が多かった」(財務省幹部)という。南アのラマポーザ大統領も冒頭、「世界的な不確実性と緊張が高まる今、G20が協力することがこれまで以上に重要だ」と訴えた。
ただ、今回の会議では米国のベッセント財務長官や加藤勝信財務相のほか、海外メディアによると、カナダやインド、中国が閣僚の出席を見送った。米国の高関税政策などで新興・途上国経済への打撃となるインフレ再燃の懸念も浮上する中、議長総括は「公正で開かれた多角的貿易システム」の支持を改めて強調した。
会議では、国境を越えて活動する企業に対する国際課税ルールも議論したが、トランプ氏は就任直後にこの枠組みから事実上、離脱する意向を表明。議長総括では「G20は議論継続へ前向きな機運を維持するための会議と確信している」と指摘するにとどめた。
このほか、為替レートの過度な変動は経済に悪影響をもたらすとの合意を再確認。会議に出席した植田和男日銀総裁は閉幕後の会見で、トランプ政権の高関税政策に関し、「実行された場合に経済にどういう影響を与えるのかという不確実性を、いろいろな国の参加者が共有していた」と述べた。27日には先進7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議も開かれ、斎藤副大臣が出席した。
(記事提供元=時事通信社)
提供元・Business Journal
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