「子育ては大変」

親であれば誰もが一度はそう感じたことがあるでしょう。

睡眠不足、ストレス、予測不能な日々。

しかしそんな子育てが、実は脳を若々しく保つ作用を持っているかもしれません。

米ラトガース大学(Rutgers University)とイェール大学(Yale University)の研究で、子どもを持つことが脳の老化を抑制し、機能的な若返りをもたらす可能性があることが明らかになりました。

さらに子供の数が多いほど、脳の若返りは顕著になっていたようです。

研究の詳細は2025年2月25日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されています。

目次

  • 親になると脳に何が起こるのか?
  • 男女とも子育てによって脳が若返る

親になると脳に何が起こるのか?

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Credit: canva

一般的に「子育てはストレスが多く、脳に負担をかける」と思われがちです。

実際、育児中の親の多くは、睡眠不足や疲労によって思考力の低下を感じることがあります。

しかし、これまでの研究では、子育てが社会的なつながりを強め、認知的な刺激を増やすことで、脳にポジティブな影響をもたらす可能性が示唆されていました。

社会的交流が脳の健康に良い影響を与えることは多くの研究で示されています(Neurobiology of Aging, 2018)。

また、運動や認知的刺激が脳の可塑性を高めることも広く知られています。

これらを踏まえると、子育ては脳にポジティブな影響を与える可能性が予想されるのです。

そこで研究者らは「親は子どもの世話をすることで、頻繁に身体を動かし、社会的な関わりが増え、脳を活発に使う機会が増えるのではないか」と仮説を立て、検証することにしました。

男女とも子育てによって脳が若返る

今回の研究では、イギリスの大規模な生物医学データベース「UKバイオバンク」を活用し、子供を持つことが脳の機能的結びつきにどんな影響を与えるのかを調べました。