復活祭の食文化
復活祭の食事は、ギリシャの豊かな食文化が詰まった豪華なものになります。

<paidakia(パイダキャ)/羊料理はギリシャに来たらぜひトライしてみて>
1. マギリッツァ(羊の内臓スープ)
聖土曜日の深夜ミサの後、人々は「マギリッツァ」と呼ばれるスープを食べます。これは、羊の内臓とハーブを煮込んだもので、断食明けの最初の食事とされています。これから肉をがっつり食べるための、予行演習のようなものでしょうか。

<滋養を感じるマギリッツァ(羊の内臓スープ)>
2. ココレツィ(羊の内蔵料理)
羊の内臓を串に刺して焼き、輪切りにして出す伝統料理で、復活祭の祝いに欠かせません。ほろ苦いようなレバーと腸の組み合わせ、炭火焼きの香ばしさがなんとも言えず、好みは分かれますが、好きになるとクセになる味わいです。
3. 羊肉(ラム)料理
復活祭の日曜には、田舎では羊の丸焼きを家族や友人と囲んで食べるのが伝統でした。昔は、羊1頭を市場で買い、炭火を起こし、早朝から家族が手分けして庭などで半日がかりでグルグル手で回転させながらジワジワと焼いたそうですが、最近では電動の回転機ができたので、この作業も楽になりました。
今でも、庭のある家では一頭グリルをしたり、バーベキューをしたり、普通の家ではオーブンで焼いたり、レストランに行ったり、過ごし方は色々ですが、それぞれの家族でご馳走をいただきます。パイダキャと呼ばれるスペアリブも、かなり脂っぽいですが、おいしいです。

<我が家の大好物 パイダキャ>
4. 赤い卵(コキノ・アヴゴ)
食卓には、赤く染められた卵が並び、家族や友人と「卵割りゲーム」を楽しみます。これは、キリストの復活と生命の再生を象徴しています。卵を手に持ち、上部と下部をお互いにぶつけあって、上下両方割れた方が負けとなります。

<聖なる火と共に盛られた赤い卵>
5. ツレーキ、イースタークッキー
ほんのり甘い、ツレーキというパンも定番です。1年中売っているパンですが、復活祭バージョンとして、赤い卵が載っているツレーキが売られます。また、サクサクのイースタークッキー、ウサギやひよこモチーフのチョコレートなども、パン屋さんやお菓子屋さんの店先に並び、復活祭の雰囲気を盛り上げています。

<癖になるツレーキ、復活祭前には赤い卵が華やぎを添える>
復活祭時期の面白体験は?
1. コルフ島の「壺投げ」
ギリシャのコルフ島では、復活祭の朝に「壺投げ」というユニークな儀式が行われます。バルコニーから壺を外に投げて割ることで、悪霊を追い払い、新たな命を迎えるという意味が込められています。
かなりワイルドで壮観なお祭りなので、いつも怪我人や掃除の手間などを心配してしまいます。行かれる方は、くれぐれもお気をつけて。

<コルフの復活祭の風景/by-daniele-fasoli-unsplash>
2. アテネや島の教会での教会見学
ギリシャでは、どこにいたとしても、各町や島の教会では、復活祭前の1週間は、様々なミサが行われています。ミサに参加するのは自由ですし、復活祭前の木曜日頃に各教会で飾られる「エピタフィオス」というキリスト様のお墓を模したものは、教会によって様々な花で華やかに飾り付けられ美しいので、色々な教会の中に入ってみるのも楽しいでしょう。
復活祭前の金曜日、夜に行われるエピタフィオスの行進は荘厳で圧巻です。エピタフィオの中にはキリスト様のなきがらがあるという設定で、信者がキャンドルを持ちお葬式に参列しているという象徴的な行事です。

<教会内は誰でも入れますが、ミサなどの邪魔にならないように>

<エピタフィオスの行進を報道するテレビ>
3. 花火と爆竹の迫力満点の祝祭
復活祭前日の23:30頃から教会の前に行けば、厳かな復活祭の様子を見学することができます。アテネ中心部にいる場合、シンタグマ広場近くの「ミトロポレオス大聖堂」は特に盛大で、復活の瞬間に各地で花火が打ち上げられます。
最近改修されたばかりで、地下にミュージアムもあります。

<大統領就任式や有名人の葬儀なども行われるミトロポレオス大聖堂>
ミトロポレオス大聖堂
- 住所:Pandrossou 1, Athina 105 56 ギリシャ
- 開場:24時間
- 入場料:無料
まとめ
ギリシャの復活祭(パスハ)は、宗教的な厳かさと、華やかなお祭りの両方を兼ね備えた特別な祝祭です。伝統的な儀式、美味しい料理、独特の文化体験が満載で、旅人にとっても忘れられない思い出になるのでは?
2024年は、外国からの友人とプラカのレストランに行きました。ライブ演奏もあり、とても良かったです。復活祭当日と翌日の月曜日(2025年は4月20日・4月21日)は、ほとんどの店や遺跡、ミュージアムも休みですが、プラカやモナスティラキ周辺のレストランは開いているところもありますので、ぜひ復活祭の陽気な雰囲気と、羊の料理を楽しんでください。
復活祭前の金曜日、土曜日も、営業時間が変則的になるところが多いので、観光や買い物をする際には、宿泊ホテルのフロントなどに確認すると良いでしょう。
文・写真・サラサ/提供元・たびこふれ
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