ポルシェ911の中でも、自然吸気ユニットを搭載し続けることで、旧来からのファンが多いGT3がマイナーチェンジを受けた。パワートレインでの目覚ましいアップデートは見られないが、それでも各機能は進化を遂げていた!
25周年を迎えたマニア垂涎のモデル
1964年の誕生以来35年、5世代目の911にあたる996は様々な意味でポルシェにとって画期的なモデルであった。まずデザインは初めて社内デザイナーの元で一新され、ボクサーユニットも水冷化されたからである。
そしてポルシェ911GT3は1999年に当時タイプの996をベースに、GT3カップ参加のためのホモロゲーションモデルとして登場した。この最初のGT3から始まり、997、991とシリーズ化され、2016年にはツーリングパッケージのルーツにあたる911Rが加わっている。

最初の911GT3が誕生し、ちょうど25周年目に登場した新型GT3に搭載されるエンジンは、自然吸気の4Kボクサーユニットだが、最高出力510ps/8400rpm、最大トルク450Nm/6250rpmと、現行モデルとほとんど変わらないスペックとなっている。その理由は一層厳しくなった排気ガス規制に対処するためで、新たに2基のパテキュレートフィルター、そして4基のキャタライザーが組み込まれたのである。これは本来であれば排気抵抗の増加によりパワーダウンを余儀なくされるはずだが、新型GT3のボクサーユニットには、GT3RSと同じプロファイルを与えられたカムシャフト、シリンダーヘッド形状の見直し、スロットル内のバタフライバルブ形状の最適化、さらにオイルクーラーの改良などが行なわれ、最大許容回転数である9000romをキープして旧モデルのパワーレベルを維持することが出来たのだ。

さらに6速MTと7速PDKのファイナルギアは旧モデルよりも8%低められ、0→100km/h加速は3.4秒、最高速度は311km/h(MTは3.9秒&313km/h)と発表されている。
新型GT3には、トラック向けに特化したヴァイザッハパッケージとロードユース向けのツーリングパッケージも用意されている。そのベースは昨年発売された992-IIであるが、エクステリアは一層の空力特性向上のため、よりシャープなデザインに。フロントのエアインテークは縦フィンにエア流入が効果的なメッシュの開口部が、そして両脇にはリデザインされたカーボン製のディフューザー、そして下縁にはスポイラーリップが広がっている。またボディ下面も整流とダウンフォースを得るために形状が改善された。一方ウインカーが内蔵されたマトリックスLEDヘッドライトにはオプションでホワイトリングが用意され、フロントエプロンへの付加的な補助ライトを不要にしてすっきりした表情が与えられている。
リア周りではディフューザー、エアーインレット、そしてエンジンリッドが新しくなった。またスワンネックタイプの吊り下げ式リアウイングのアンギュラーサイドプレートの形状も新しい。





インテリアは標準仕様をベースに、ロールケージや本格的なスポーツシートなどでトラック用に仕立てたヴァイザッハパッケージ、そして文字通りオンロード用に控えめなツーリングパッケージを用意。スポーツ仕様ではカーボンスポーツシートのバックレストが前に倒れるようになったこと、そしてツーリングパッケージではリアシートがオプションで用意されるようになった事などが新しい。




標準で装備されるスポーツタイヤはウェット性能を向上させたデザインで、サイズはフロントが255/35ZR20、リアは315/30ZR21だ。またオプションで公道走行認可を得ているトラックタイヤも用意されている。 ポルシェジャパンによれば、この911GT3およびGT3ツーリングパッケージ共に価格は2814万円とされている。

【SPECIFICATION】ポルシェ 911 GT3
■車両本体価格(税込)=28,140,000円
■全長×全幅×全高=4570×1852×1279mm
■ホイールベース=2457mm
■車両重量=1479kg
■エンジン形式/種類=ー/水平対向6DOHC24V
■総排気量=3996cc
■最高出力=510ps(375kW)/8400rpm
■最大トルク=450Nm(45.9kg-m)/6250rpm
■燃料タンク容量=64L(プレミアム)
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:255/35ZR20、後:315/30ZR21
文・木村好宏/提供元・CARSMEET WEB
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