■「シャピラスクロール」再検証の議論

 世間に顔向けできなくなったシャピラは、ロンドンからアムステルダムへ逃れた。しかし、それでもなおシャピラは大英博物館の主任司書であるエドワード・オーガスタス・ボンドとギンバーグに彼らの見解を考え直すよう懇願し、シャピラスクロールが本物であると主張し続けた。

 だが、専門家の結論は覆ることはなく、それに耐えきれなかったのかシャピラは1884年に拳銃自殺をするという悲惨な結末を迎えることになる。そして1889年に大英博物館は2枚のシャピラスクロールの展示を止め、タダ同然で売り払ったということだ。

 現在、全部で15枚あるはずのシャピラスクロールの行方はよくわかっておらず、保管場所で起きた火災で大部分が焼失したという話もある。

「シャピラスクロール」の謎! … 何が書かれていたのか!?
(画像=画像はUnsplashのTaylor Floweより,『TOCANA』より 引用)

 だが、現代になってこの話は急展開を見せる。意外にもシャピラスクロールが本物であったという可能性が高まり、再検証すべきとの議論が巻き起こっているのだ。

 独ポツダム大学のイスラエル系アメリカ人学者であるイダン・ダーショウィッツ氏が、ベルリン州立図書館でシャピラの論文を精査したところ、「彼の発見が本物であることが示されており、偽造品であると断定されたのは『シャピラと聖書研究の両方にとっての悲劇』であった」と言及している。

 また米ニューヨーク・タイムズ紙の記者であるジェニファー・シュースラー氏もまた、発見者がシャピラでなかったとしたら、この古文書の扱いは違っていたのではないかという見解を示している。

 このように、人類史の宝と考えられる古文書が見つかったが、発見者が詐欺師であるが故に偽物と断定され、それらが失われたどころか発見者まで命を絶つという事件が起きているのだ。「もう一つの死海文書」ことシャピラスクロールは今、どこかに存在しているのだろうか。貴重な人類の遺産に新たな光が当たる日が再びやってくることを願わずにはいられない。

提供元・TOCANA

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